著者初の倒叙ミステリーとか。

いわゆる刑事コロンボのように、始めに犯人による犯行場面を描いたあとに、刑事なり探偵なりが、犯罪を暴いていくスタイルのミステリー。

ここでの探偵役は、警視庁の乙姫警部。

通称、死神。中年で、痩せて背が高い。黒いスーツに黒っぽいネクタイ。一見、葬儀社の社員か、死神に見える。

そんな警部の捜査方法は当たり前の聞き込み。関係者の証言を聞いて回り、少しでも違和感を持てば、それを追求して、隠された真実を明らかにし、真相にたどり着く。

全四編の犯罪が語られる。

最初の犯罪は、若い女性読者がターゲットの恋愛小説を書いていたコンビの男性。その片割れが、日課のジョギング中に襲われ、後頭部を殴られて死亡。犯人は相方だと最初からわかっている。特に手がかりもなく、完璧な犯行だと思われたのに、死神は最初から犯人を疑っていた。それは何故?


二番目がタイトル作。マンモス大学の伝統ある学部の主任教授、学内で皇帝と呼ばれる誇りある男が、学内の面識のない経理事務員から恐喝される。次期副学長候補の皇帝には排除するしかない。念入りに練った犯行で、証拠もないはずだったが、死神の目はごまかせなかった。


三番目は、小劇場を切り盛りする男。少しづつ希望が見えてきた矢先、赤字補填のために借金をしていた高利貸しの叔父から無茶な要求を受ける。看板女優の恋人を愛人に回せと。衝動的に、手近な日本刀で刺殺。抜いて刺し直したときに、大量の血液が飛び、血痕をのこした。その一部の異常さに目を止めた死神。そこからいかにして、犯人を追い詰めるのか?


最後の四番目は、古いビルの一回で見つかった、一見、首吊り死体。でも、死んだときのロープと発見時のローブの太さが違う。第三者がいた、犯人がいた?死神の出番たが、今回は難航する。手がかりが見つからない。しかし、考えられることをすべて考えて、残ったのは、自殺と、その後の工作という結論だった。

自分の容姿に自信が持てないという病気があるんだな。驚いた。