心霊現象が関わる事件を専門に扱う探偵、濱地健三郎が主人公の短編集の事件簿第三作。
今回は、コロナ禍での濱地の活躍を描いた六編が収録されている。
最初に出てくるのは、リモート怪異。リモート飲み会の最中に現れた怪異な存在。
二番目に登場するのは小川沿いにたつ、普段無人で使われていない小屋に現れた怪異な存在。顔も手先もないものが、入り口付近で、おいでおいでしている。
濱地探偵は、最近の状況を聞いて回ったあとに、とっぴな推測をする。誰かがここで殺され、首や手を切り取られたんだと。小屋に閉じ籠ったのは、コロナ感染のため、彼を世話をしていた男がおり、それが犯人ではないか。周辺で買い物をしていて目撃されている。そんな推測混じりの話を、懇意にしてる警視庁刑事に話しておくと、やがて、死体がみつかり、犯人も濱地の推測により明らかになる。その旨を怪異なものに話すと、消えて成仏する。
濱地探偵事務所の留守電に残されたたすけて、というメッセージ。相手の正体もわからす、最初は戸惑うが、不思議な偶然により、それか明らかになる。濱地の助手を勤めるユリエの恋人であるライター進藤の知り合いだった。
被害者はなんと怪異な存在。街中で押し付けられた呪符により、ある男の部屋に閉じ込められた怪異なものが、濱地に助けを求めたという、奇妙な事件。
夜遅く事件解決のあとに、夜食を求めていた刑事赤波が遭遇した悪質ないたずら事件。被害者の財布にあった濱地探偵事務所ので番号が書かれた紙片。怪異なものが関わっているのか気になった赤波は、濱地に依頼することになる。
不動産屋に立ち退きを迫れていた古道具屋の主に、最近不審なことが。夜金縛りに毎晩悩まされるし、体も悪くなってきた。心配になった娘が濱地に依頼してくる。やって来た濱地は一目で看破する。怪異なものは、買い取った古道具についていたもので、不動産屋の企みで、かわされていたらしい。見事に解決する濱地。
コロナが落ち着いたキャンプ場に現れる怪異を解決するために乗り出した濱地。邪気のないものだったため、すぐに消えた。そのあとに来た依頼は、怪異なものを感じられる馴染みのナースから。親の財産を受け継ぎ、趣味の研究に打ち込むイケメン独身男が、最近奇病にかかっていて、どうやら怪異なものがもとらしい。西洋館じみた立派な建物を買い、暮らし始めた男が、館の隠し部屋を開けてしまい、飛び出した怪異なもの。濱地は消し去ることができず、自信に憑依させて、もとの隠し部屋に戻すことになる。
幽霊とか怪異な存在、信じてるとまでは言えないが、一概に否定もできない。もったいぶったオカルト知識は信用できないが、漠然とした存在としては認めたくなる。亡くなった人の思いが、この世に残した痕跡、そんなものはあるような気がする。ご先祖が守ってくれているとか、守護霊の存在はあるような気もするし、あったらいいなとも思う。
なかなか、興味深く、面白かった。有栖川さんの本格系のミステリーよりは、こちらの方が私には合う、というか、好きだな。