前から気になっていたこれをようやく読了。予想通り、ハートウォーミングで、いい作品だった。

都内のとある町の小学校に併設されているコミュニティハウス。地域住民のために、いろんな講習会が開かれている。さらにこじんまりとしているものの図書室まであり、専任の司書までいて、借りる本の相談も受け付けている。

そんな図書室に訪れた悩める人々が、司書が勧めた本をきっかけにして、人生や仕事の悩みから解放されていく様をえがいた作品。

登場する人物は五人。

スーパーの婦人服売り場で働く21歳の女性朋香。

家具メイカーで経理をする35歳の諒。

元雑誌編集者で、出産後は、資料部へ異動した40歳の夏美。

デザインの専門学校を出て、就職したものの、人間関係に悩み退職し、今はニートの30歳の浩弥。

菓子メーカーの営業職を定年退職した65歳の正雄。

図書室の司書は、一見大きなシロクマだが、声は優しく、名前はかわいい小町さゆり。いつもフェルトの固まりに針をブスブスさして、小物のアクセサリーを作っていて、おすすめの本の付録として、それをくれる。

彼女の元に訪れたものは、その外見に驚き、帰ろうとするものの、彼女の、お探しものは?という言葉でふりかえる。

探し物の本も教えてくれるが、それとともに、全く関係がないと思われる本を紹介してくれ、それを読むことで、日頃の自分を見つめ直すきっかけになり、また、違った視覚で、自分の悩みを見つめ直すことで、新たな見方や考え方に気づく。それが悩みからの解放や、新たな生き甲斐を見つけることになる。

五人の話が五章で語られるが、同じ図書室を媒介していることで、章が変わってもお馴染みの人物が登場したりして、なかなか興味深い。

連作短編集のような構成になっているのかな。