英語圏での最高の辞書、『オックスフォード英語大辞典』OEDの編纂事業の陰で、一人辞典に採録されなかった言葉を拾い集め、記録した架空の人物、エズメを主人公に、彼女の人生を描いた小説。

OEDは、ビクトリア朝に編纂が始まったために、きわめて男性中心の事業だった。編纂チームは当然男性ばかりで、編集方針として、文字に書かれた言葉しか収録しないために、男目線の言葉しか収録されていない。したがって、初版のOEDには男性による偏向があるのではないかと考えた著者は、それを裏付ける史料もなく、架空の女性エズメを編纂事業の現場である写字室の仕分け台の下に置くことで、あり得たかもしれない歴史を描こうとした。

主人公と共に、十九世紀末から二十世紀初頭のイギリスで行われた辞書の編纂作業を描き、それに関わった女性たちの人生を描いていく。

当時は女性はあまり教育を受けられず、性知識も与えられないために、悲惨な状況だった。