吉原裏同心シリーズ第38作。

京都から戻った神守幹二朗が、八代目の吉原会所頭取について、裏同心と頭取の一人二役を始めたものの、なかなか慣れず苦労する。

頭取について驚いたことは、会所に400両足らずの金しかないことだった。先代の頭取は、引き手茶屋の主でもあり、身銭を切って、会所費用を穴埋めしていたらしい。

もと浪人の神守には金はない。折しも、老中松平定信が、改革に失敗し、解任された。以前海賊をしていた商人を倒して、手に入れた莫大な金を、改革費用にと定信が預かっていた。解任で不要になった、その金を定信は吉原改革に使えと言われ、神守は、10万両を拝借することにする。

改革の手始めに、吉原の外れにある切り店と呼ばれる場所の清掃から始める。それを妨害するものも出てくる。さらに、そんな切り店を何件も手に入れているものがいることを知る。その目的はなにか?

そんな主夫婦が殺され、背後に武家がいると知る神守。将軍御台所につかえる武家だという。薩摩から輿入れした御台所だから、薩摩藩のあとおしもあるやもしれぬ、大物。しかし、その狙いは何か?

郭の外で商いをしていたあみがさ屋が、店じまいをし、その土地を買い取ることを決めた神守。ゆくゆくは、京都の芸者などをよび、江戸の芸者と一緒に芸事をする新しい見番を作ることを考えていた神守は、あみがさ屋の500坪近い土地に、新築することにする。費用はなんと一万五千両くらいもかかるが、決意する神守。

懸念される大物の悪人のこと。

今作では、その正体にまではたどり着いていない。

次作では、これがどう展開するか、楽しみではあるが、待ち遠しいな。