弥勒シリーズ第十作。今回の章名は花の名前になっている。

裏で高利貸しをしている商人夫婦が殺された。現場を見た岡っ引きの伊佐治も同心の木暮信次郎も、死体の死に顔にある驚きの表情に引き付けられる。

母親の命日で、老女のおしばに墓参りにいくようにせっつかれた信次郎が、腰をあげようとしたときに、殺しの知らせが舞い込む。

現場におもむき、伊佐治にあれこれ探索の指示を出したあと、墓参りに出かけた信次郎。墓の前で母の言葉を思い出す。死の間際、何を見たのであろうか?

気になって、幼い頃になくなった母親のことを調べ始める信次郎。

遊女上がりの後妻と共に殺された高利貸しの商人。

調べていくと、先妻の実家にもかなりの借金があり、先妻の弟である主が、偽装で病死をした後で、殺したのが判明する。幽霊に殺されたから驚愕の表情でなくなったのだと。

闇の奥深くを見つめ、それを次第に明るみに引き出すことを何よりも楽しむ信次郎は、それだけでは満足しない。現場で不審を覚えたことはすべて明らかにし、パズルのピースをすべてきっちり納めるところに納めないと満足できない。

彼の指示で伊佐治が次に明らかにしたのは、後妻の浮気と彼女をうらむ商人の妻だった。

夫婦それぞれに殺しを企てたものがいた。ようやく、終わったかと思えたら、信次郎はさらに探索を指示する。

その結果、明らかになったのは、殺しを影で操っていた真の黒幕の存在と、それが信次郎の亡き母親につながるという。

すべてのなぞが解け、伏線が回収されたときの、醍醐味はやはりいいね。

清之助も、伊佐治も、それが見たくて、嫌な男信次郎から離れられないらしい。


これが昨年の新作。今年はさらに最新作が出ている。図書館本ではさしあたり読めそうにないし、古本で出るのもまだ先だろう。新刊だと、1600円くらいか。思いきって買いたくなるが、どうしようか?