「弥勒の月」に始まる弥勒シリーズ第八作。

小間物商遠野屋の一番番頭、喜之助がなくなる。遺品を整理したら思いがけないものが出てきた。

先代から数十年勤め、清之助が婿入りして跡を継いでからは、何かと嫌がらせをしながらも、店を守ってきた。そんな喜之助は死ぬ間際に、清之助は店に災いを運んできたと言い残す。

清之助の過去を知っていたのか、なにかを感じていたのか。

清之助は父親に暗殺者として育てられ、何人もの命を奪った過去を持つ、もと武士だった。

喜之助の遺品を整理していたら、奇妙なものが出てくる。六人の女の名前がかかれた書き付けと、小間物が出てきた。女の影もなく、所帯を持たなかった喜之助。誰なんだろう?

さらに、火事現場で見つかった不思議な織り布の鑑定を伊佐治に頼まれた清之助は、喜之助が似たようなものを持っていたことを思いだし、探してみると、娘用の帯を見つける。織りも糸も同じようだが、何の糸かはわからない。

火事の現場で女の刺殺体が見つかる。直後の雨で大事にならず、遺体も燃え残っていた。なぜか?帯はしてないのに、着物は乱れていない。のちに、帯の残骸と思われる布も見つかる。

調べはじめてみると、なぜか女のみもとがわからない。きちんとした家なのに、周囲では空き家と思われていて、手がかりがない。

その家の持ち主はすでになくなり、跡取りは何も知らない。しかし、一時絵師になろうとした道楽息子に話を聞いてるときに、彼の師匠の絵師が描いた美人画を見せられ、そのなかに、あの帯をした女がいた。

女の素性は?帯の産地はどこ?

探索を進めていき、明らかになったのは、小藩の生きるがための悪事と、それに翻弄された人々。そして、清之助のように暗殺者として育てられた女装していた男の数奇な運命。

人の暗部をほじくりだすことに喜びを見いだす同心木暮。独特の勘で、清之助に何をぶつければ、新たな展開が開けるかがわかり、手段を選ばない木暮。普通の商人として生きたいと願いながらも、木暮の投げるものを無視できず、関わってしまう清之助。二人の間で戸惑いながらも、事件の真相を見たいと手伝ってしまう岡っ引きの伊佐治。

三人の掛け合いがなんとも面白い弥勒シリーズ。

読み終えてみると、前に読んだことがあるとわかったが、それでも楽しめた。

シリーズ最新作が出たと、なにかで見たが、何作目なんだろう?図書館にあるのかな?