主人公は定年後、雇用延長警察官として、大阪府警生活案全部消息対応室に勤務する安治川。行方不明事案に事件性がないかどうかを調べる部署で、事件性がある特異行方不明だと判定されたら、所轄が捜査をする。だから判定に困った所轄から送付されない限り、安治川たちは動けないのがふつう。

今回は、高校時代にラグビー部でコンビを組んだ先輩からの依頼で、密かに始めた行方不明事件が発端となる。

大会社に勤めたものの派閥争いに破れ、失意のうちに定年退職した先輩内山。

陶芸教室で知り合った三十も年下の美人と婚約していたが、相手の女性が行方不明になっているという相談を受ける。

事件性がないと、所轄は届けを受けても、捜索はしない。だからと、安治川は単身、調べ始める。

問題の女性には以前にも年寄りと結婚し、遺産を受け取ったことがあるとわかり、詐欺の疑いも出てくる。

調べを進めていくうちに、遺体が次々と出てきて、連続殺人の疑いも出てくる。容疑者も浮上するも、鉄壁のアリバイがあり、苦労する。

安治川は現役時代は他県の警察の捜査に協力する共助課にいて、その後、親の介護のために事務職に異動したので、花形の殺人事件には加わった経験はない。

再雇用警察官は、給料激減、待遇曖昧、邪魔物扱いと、決して恵まれた仕事ではないが、安治川は上司や組織に縛られず、言及などの処分も気にせずに、のびのび捜査できる今が幸せ。

共助課時代に培った人脈と刑事としての勘に頼ることで、調べを進めていく。

地道だし、何度も挫折しながらも、ついに鉄壁のアリバイを崩し、真犯人に自白させる活躍をする。

なかなか面白かった。高橋英樹主演の連続テレビドラマにもなっていたから、短編集かと思っていたら、なんと長編で、一気には読めなかったが、よかった。

今のわたしも再雇用会社員だから、心情的には、あれこれ共感できるところもあった。