サブタイトルが、生者は語り 死者は踊る。シリーズ5作目。
大学で民俗学を講ずる高槻には、人には言えない秘密がある。幼い頃に神隠しにあい、発見されたときには背中に、まるで天使の羽をもぎ取られたような傷があること。それ以来、神隠しにあった時の記憶がないこと、さらに、一度見ただけで映像として記憶し、忘れないと言う能力がある。
彼のゼミにいる大学生尚哉にもまた特異な記憶があり、それ以来持つ、人の嘘を聞くと、乱れた不快な音を聴くという能力を持つ。
長年疑問に思っていたそれを調べるべく、夏休みの盆の時期に祖父母のいた村へ向かう話が、今回の三話のメインテーマ。
祖父母の村では盆祭りは早めに終わり、子供立ちは先に帰らされた。そのあとに何があったのかは誰も話さず秘密になっていた。十歳の時に、尚哉は夜遅い時間に一人盆祭りに出掛け、異様な盆祭りを見た。仮面を被って踊る村人たちの中に、なき祖父の姿を見つける。まるで、死者と生者が混じったような盆踊り。亡者に見つかり、あの世につれていかされそうになった尚哉はなんとか現世に戻ることはできたものの、代償として、嘘が見抜ける耳を持つことになる。
それは知らない方がよくない嘘までわかることにより、尚哉は両親、
友人をはじめとする人間関係が希薄な人生にしてしまう。
長年、あの盆祭りのことが気になっていた尚哉は、怪異の研究が好きな高槻准教授にひっばられるようにして、謎の解明に向かうことになる。
そして、それはなんとか果たすことができたようだ。村にはあの世への入り口が神社の奥にあり、尚哉と高槻はあわや、あの世へと引き込まれかけるも、なんとか現世に戻れた。その際に、忘れていた過去の記憶を思い出す夢を見た二人。
高槻もあのときの記憶を取り戻したようだが、現世に戻ったときに、この旅のすべての記憶を失うという代償を払うことになってしまう。
大学で行った百物語で起こった不思議の謎解きの第一話と、高槻ゼミの古参の院生が知った高槻の背中にある傷跡にかかわる第三話はあまり、面白くなかった。