イタリアの女性作家エリ―ザ・プリチェッリ・グエッラによる、ヤングアダルト小説。
十代の少年少女の書簡体から始まる。
図書館の誰も読みそうにない本に挟んであったメモ風の手紙。少女のそれに気づいた少年が同様にして返事を書いたことから始まる二人の文通。
学校ではなく、何かの研究所にいるらしい。森の中にあり、来た時はヘリコプターだった。学校のように、授業やスポーツもあるが、定期的にある薬を飲まされ、検査もうけている。
最初は名前も顔も、自分を隠して文通していた二人だが、いつか恋のような気持ちになる。
そして、自分達がいる研究所が何であるかが気になってくる。
少年は同室の二人を巻き込んで、研究所の秘密を探っていく。
そして、ついに、記録保管室と呼ばれる秘密の部屋への侵入を果たす。そこには、研究所内にいる少年少女たちの、それぞれのカルテのような紙の書類があるのを見つける。そこには該当の子の生い立ちと欠陥が記され、治療方法が記されていた。ネット流失を恐れ、紙の書類として残されていた。
薬により過去の記憶を消し、脳のある部分を除去する手術により、問題のある性格などを取り去り、両親や社会に従順な性格に改造する、半倫理的な外科手術が行われているらしい。
同室の友人は逃げ出すことを主張するも、少年は研究所内のすべてに真実を明らかにすることを主張し、やがて、行方不明となる。どうやらいじめっ子に捕まり監禁されたらしい。
友人たちの協力で無事脱出し、研究所を訪れたことがあるジャーナリストに、研究所の秘密を暴露することで、秘密の人体実験を世間に知らせ、研究を止めることになる。
研究所に放火することで、助けを呼び入れて、皆保護されるも、少年少女と友人の五人は逃げ出す。
いまさら、両親のもとに帰る気にもならないし、社会やおとなへの不信感も消えてない。
一見ユートピアを思わせる研究所だが、実は真逆のディストピアを描いた近未来にあり得る社会を描いた小説であると共に、冒険小説探偵小説なところもあり、若い少年少女のラブストーリーでもある。
なかなか面白かった。