神の時空シリーズの前日譚。
辻曲兄妹の両親が事故死した8年前のバスの転落事故。学会の異端児と呼ばれる大学教授潮田と、彼を慕う人々による天橋立観光ツアーで起こった事故だが、実は彼らを抹殺しようとした高村皇のしくんだものだった。
その事故に先立つこと、2年前に、すでに策略は始まっていた。
潮田教授の研究室にいた関係者が続けて二人野良犬のようなものに、首筋を噛まれて殺された。
助手だった永田遼子は、教授が密かに研究している神功皇后に関して、親しくしていた年下の学生範夫と共に、図書館で資料をアサリ、学んでいくも、今一つわからない。
そんな折りに、新宿の裏通りで偶然見つけた喫茶店で、火地という幽霊の歴史作家と出会い、彼により、神功皇后にまつわる謎が解き明かされる。
論理に破綻はないが、納得できず悩む遼子に、近づいてきたのが高村の手下であった、狐の化身である磯笛だった。笛子と名乗る女子高生だった彼女により、ビルの屋上からの転落による自殺と判断される遼子。
見かけは美少女女子高生だった笛子により、取り込まれて、仲間にされる範夫。
潮田教授が到達した歴史の秘密は、神功皇后は実は天皇になっていたというもの。家臣だった武内宿爾との間にできたのが、応神天皇だった。つまり、これを機に、天皇制は女系に変わっていたというもの。
それが流布すれば、天皇への畏怖は衰え、無価値となり、日本最大唯一の魂鎮めの家系がなくなり、一見、高村にとっては好都合になるはず。それなのに、なぜ高村は潮田教授とその学問仲間を抹殺しようとしたのか?
昔から天皇制を廃しようとする試みは何度もあったものの、成功しなかった。民衆の支持がなかったからだ。それほど、天皇は民衆の心の中に根を張っていた。天皇の存続が日本国の存続と同一視されるほどの存在だった。
潮田の主張が発表されたら、世間は騒ぐとしても、天皇制を廃するには至らないだろう、というのが、高村の読みだった。放っておけば、女系を認めないだの、様々なしがらみのある天皇制は、いずれ自然に衰退し、魂鎮めの祭祀もできなくなり、高村たち怨霊が世にでる世界になると。
そして、二年後、高村は潮田教授と仲間を一挙に抹殺する。それが事故に見せかけた観光バスの転落だった。
八年後、学校帰りの辻曲兄妹の次女、摩季は、転校生の笛子の挙動を怪しみ、跡をつけて、元八幡までいき、笛子が異常なものを持っていることに気づく。そして、摩季は何者かに襲われ、瀕死の状態で海岸で発見される。
この後に続くのが、神の時空シリーズ。