酔いどれ小藤次の新シリーズ第17作。
上下2冊で同時発刊。
江戸の町で、貧乏人のところへ小銭が投げ込まれ噂が出始めた頃、紙問屋久慈屋の店先で、研ぎ仕事をしていた小藤次の前に現れた謎の青年。小藤次を見込んで、名刀と思われる小刀の研ぎを頼まれる。
その直後、毎年納める高尾山薬王院への紙の納入に小藤次に同行してもらいたいと、久慈屋の主から頼まれる。荷車に紙をのせての小さな旅。
小藤次だけでなく、息子の駿太郎も同行すると聞いた、道場仲間たちは、八丁堀の部屋住みばかり。一生どこへも行けそうにない彼らが、荷車の後押しの手伝いとして同行することを願い、許される。
大人数の一行は、主と手代の他、人足らに、小藤次親子、そして道場仲間たち。甲州道中を2日で行ける旅だが、はじめての子供らは最初は音をあげるばかり。
前作で不祥事をおこし、追い出された道場仲間が、不良になり、一行を狙っていることがわかる。
なぜ賊は紙を狙うのか?小藤次も最初は知らせれていなかったが、実は薬王院に頼まれて久慈屋が貸し付ける大金、7百両が、荷のなかに隠されていた。
限られたものしか知らぬそれを、賊に教えたのは誰か?
府中宿で襲ってきた賊は駿太郎と、道場仲間の目付である見習い与力の岩代が退治する。その際、町奉行の面目を保つために、賊に荷担した元の道場仲間を切り捨てて、無縁仏として始末する。段取りは小藤次の差し金だが。生まれてはじめて人を切った岩代には、忘れられない貴重な経験となった。
薬王院につく頃に始まった長雨により麓で待つことになる一行。主と小藤次は薬王院に上がり滞在する。
そして、今薬王院にある問題が明かされる。先代の院主には隠し子があり、今はごろつきとなり、薬王院を狙ってきた。息子を修業僧にして、ゆくゆくは院主にするつもりが、先代は甥である現院主を跡継ぎにした。それを妬み脅して金を巻き上げられ、近く行われる催事の費用にも困り、久慈屋に借財した。ごろつきがその金も薬王院も奪おうと高尾山へ来ている様子。先代は以前来たことのある小藤次を頼れと遺言していた。
こうして、小藤次は薬王院の危機の解決のために動くこととなる。
小藤次向かうところに騒ぎは起こる。
駿太郎と道場仲間たちの成長と活躍を描いた今回。
皆が無事江戸に帰ったところで終わる。伏線の拾われてないものがいくつかあり、次回にも描かれるのか?
小藤次が研ぎあげた懐剣の持ち主である旗本のお嬢様の行く末、研ぎを頼みにきた盗賊の正体、小藤次らが留守の道場に通いはじめた京都帰りの武家の正体。
次作も楽しみだが、いつ出るのか?1年待たねばならないか?
佐伯さんは、先月に新シリーズも始まり、従来のシリーズの続きが遅れないかな。
新刊情報のある佐伯通信が挟まっていた。
10月に、吉原裏同心シリーズの
11月に、酔いどれの新作が出るようだ。さらに、来年の1月に居眠りの新作がでる。
暑い夏を乗り越えれば、馴染みの面々にまた会える。