80代の小柄なおばあさん、ひかりが巻き起こす奇跡、魔法を描いたシリーズ2作目。
昔、書道教室を開いていたひかりおばあさんは、誰をも誉めることで、居場所をなくしていたものに、自信と自分の存在価値を見いださせることで勇気を与えてきた。今は老人になった当時の教え子たちは、ひかりを人生の師として慕い、今も何かと役に立ちたいと、見知らぬ相手でも親身に接するようになる。
そんなひかりを中心にした善意の人々の人脈により、新たに入り込む人々が描かれていく。
祖父が始めたシャッター商店街の喫茶店を引き継いだものの、先行きもなく閉店を考えていた女性。亡き祖父の幼馴染みだったというひかりが訪れたことがきっかけで、劇的な変化をする。祖父の残した古銭の収集を展示したことがきっかけで客足が増え、さらにひかりの知り合いから譲られた外国の貨幣やジッポのライターなども展示して有名になり、挫折した漫画家だった彼女は、似顔絵を書くことで人から喜ばれ、自信を持てるようになる。
社内クーデターによって会社を追われた元社長。傲慢だった彼はひかりに出会うことで、自身の人生を反省し、新たに生き直すことを学ぶ。
倒産寸前の町工場の中年夫婦は、ひかりの孫娘の頼みを引き受けたことがきっかけで、新たな販路を見つけ、将来に希望を見いだす。長年疎遠だった姉妹もよりを戻すことになる。
ラーメン店の経営に失敗し自己破産。残った借金がサラ金業者に回り、妻と離婚し、車上生活をしながら就職活動をしていた男は、自転車が倒れて怪我をした中年女性を助けたことが縁でひかりと知り合う。中年女性はひかりの息子の嫁だった。ひかりの紹介で高齢者に弁当を運ぶ仕事を紹介され、さらに年より夫婦が営んでいた寿司屋を手伝うことになる。入院した老妻の代わりの手伝いとして雇われたが、高齢者の客が多いことから、にゅうめんを出すことを思い付き、ひかりの知り合いから、うまいだしの素や食用のザリガニを手に入れたことで評判になり、店の看板メニューを作るようになり、自信と生き甲斐を得る。
謎の老女ひかり。いつもニコニコし、優しく言葉をかける。時には嘘も交えた話で勇気づけ、生きる張りを思い出させてくれる。さらに彼女を慕う人脈に引き入れることで、仕事のチャンスを与え、生き甲斐を産み出す。魔法使いではないかと思わせる不思議なひかりおばあさんの引き起こす幸せの物語。
読んでいて、小説と思いながらも、うっと泣きそうになる。