シリーズ第11作。
今回、桑原と奈々は学校薬剤師会の旅行で、熊野に行く。現地で一行と別れて、桑原が個人的な趣味で、訪れたい神社へ向かうのに付き合う奈々と体調を崩して帰京を見合わせた薬剤師の神山禮子。さらに、和歌山市で起きた殺人事件の取材に訪れた小松崎と奈々の妹も熊野にいて合流する。
事件は、個人病院のオーナーが自宅で殺され、頭部と右手が切り落とされた状態で発見される。誰がなんの目的で切り落としたのか?
さらに、オーナーが選んだ事務長が自室で毒殺され、同席した薬剤師が疑われるも、どのような毒を、警戒していた被害者にどのように飲ませたのかがわからず、警察も逮捕できない。
桑原たちは、熊野にて、神山の幼馴染みで病院とも親しいという男、御名方史紋と出会う。桑原同様、独創的な男で、毒草師と名乗る。互いの知力が似ているらしく、波長が合う桑原と御名方。
そうした二人が今回取り組む歴史的な問題は、三種の神器と、それにまつわる全国の神社。それらに秘められた意味と関係が桑原によって鮮やかに解明されたとき、その美しさに圧倒される。