上方落語界で落語家を目指す女性を描いた作品。
上方落語の中堅、桂夏之助が、失踪した。30年のベテランで、常道をいく堅物の独身落語家だったが、ある夜の寄席の出番に出ないまま、行方知れずとなる。
一ヶ月たっても行方がわからない師匠の帰宅を願って、3人の弟子小夏、若夏、甘夏は、師匠がお気に入りの風呂屋で、深夜に落語会を開くことにする。その名も、「師匠、死んじゃったかもしれない寄席」。
ゲスト1人を呼び、4人の落語会を開いた弟子3人。ゲスト落語家の講評や指摘を受けながら、稽古に励む3人だったが。ある日、生真面目だった一番弟子の小夏が連絡をたつ。調べてみると、ストリッパーに惚れ込み、彼女の巡業に付いている。迎えにいった甘夏の説得にも答えず、帰らない。時にははめをはずすのもいいと師匠が言った言葉を実行するように。
師匠の弟分の竹之丞に励まされ、若夏、甘夏の二人は彼と一緒に、かつて師匠が好きな山頭火の跡を追って落語会をした九州へ行くことにする。この旅で、若夏は秘密にして向き合うのを拒否していた故郷水俣に向き合えるようになる。
師匠も小夏も帰らぬまま、開いた師匠の帰還を願う三夏会の銭湯での寄席で、若夏も甘夏も一皮むける。直後に戻った小夏も吹っ切れたようだ。
師匠の目に触れたいと、決勝が全国放送に流れる落語会に挑戦した3人の弟子は決勝に残る。
その結果は示さず、エピローグでは一人前の落語家になった甘夏に弟子入り志願の若者が訪れるエピソードが描かれる。

結局、師匠がどうなったのかは触れられないままなのが、少し気になったものの、なかなか面白かった。東京の落語家の話は読んだことあるが、関西のは初めてで、興味深い。ネタの話など、あまり聞かないだけに。