警視庁捜査一課殺人犯捜査第五係の刑事、宇田川のシリーズ作。
同期の女性刑事大石から誘われて、赤坂のスペイン料理店で、食事をした。そこは、宇田川や大石と同じく同期のもと公安刑事の蘇我の馴染みの店で、三人であったこともある。蘇我は公式には退職扱いになっているが、どうやらいまだ秘密の捜査をしている様子。他に宇田川の上司植松警部補、植松の同期である特命捜査対策室に勤務する土岐警部補という、年代の違う二組の同期の集いとなった。その場で大石が、特殊犯捜査係から出向することになったという。どうやら秘密の任務につくらしい。
港区の埋め立て地の脇の運河で刺殺体が発見される。どこかで殺され、遺棄されたらしい。捜査本部ができ、宇田川も参加。遺棄された時間に目撃された車が特定され、所有者の堂島が事情を聞かれるも、だんまり。その後、被害者がもと半ぐれで、今はコカインの販売を行っていたことがわかる。薬品輸入の商社の役員だという堂島が、暴力団の組員で、そのフロント会社にいることがわかる。兄貴分の指示で車を貸しただけ、という供述に疑うこともなく、堂島は釈放される。
堂島の会社の倉庫が現場近くにあるきとがわかり、そこの防犯カメラを調べると、堂島の車が写っていて、しかも大石が同乗している。どうやら、大石は潜入捜査に入っているらしい。暴力団にコカインを売っているアメリカの組織を調べるための潜入捜査。
堂島が車を貸したいう暴力団の幹部が自宅で死体が見つかる。どうやら早くに殺されていたらしい。となると、釈放した堂島の供述が怪しい。探すと、行方をくらましている。
蘇我から宇田川に連絡があり、会ってみると、どうやら大石が危ないという。すぐに助け出せる準備をして、潜入させたものの、連絡がとれなくなり、助けにもいけない状況だという。麻薬取締官が指導する捜査員は救出を諦めている。
同期であり、同じ警察官である仲間を見捨てられない宇田川や植松らは特別班をつくり、大石の捜索を行う。蘇我も協力する。殺人の目撃者を探すという名目で、殺人の捜査本部に属しながらの特別捜査だ。
防犯カメラに写った大石の、同期だけにわかるサインから、大石の潜入捜査が破綻してないと判断したお宇田川。彼女なら堂島を導いてくるとして、待ち伏せをして、ついに逮捕。取り調べで自白させ、事件は解決。コカイン流入の経路もわかり、そちらの捜査にも寄与する。