これはなんと呼べばいいのか、メルヘンチックな景色もあれば、地球滅亡の破滅小説にも思える。
ブラック企業で働く誠一は、ある夜、出張帰りの電車の中で疲れはてていた。自宅にいる妻ともうまくいってない。ネットで知り合い、結婚したものの、妻の借金の肩代わりしただけという関係。
車内にいた女性に目が止まり、彼女に続いて、見知らぬ駅で途中下車してしまう。頭がボーッとして、気がつくと見知らぬ公園にいた。通りかかった婦人に聞いても見知らぬ地名で、自宅にどう帰ればいいのかわからない。親切な人たちに助けられ、そこに住むことになる。メルヘンチックで平和で心が落ち地区世界。終点駅近くの山には、地面から金やら宝石が産み出され、拾って帰り、業者に売れば莫大な金になる。たまに魔物が訪れるものの、住人総出で退治できる。
やがて、一人の女性と知り合い、結婚して、娘が生まれ、幸せな家族ができた誠一。
そんなある日、手紙が来る。最初は妻から、ついで内閣総理大臣から。どうやらもといた世界の地球では、未曾有の災厄が襲っていて、地球滅亡の危機に直面してる。それを救う鍵を握る荷が誠一らしい。
のちに一、一九と呼ばれる1月19日に、地球に多くの隕石と思われる飛行物体が落ちてきて、その後、新種の生物が登場する。餅のような外観のアメーバのような生物。有機物を何でも食べるし、それを口にした人はほとんどが、それに変わってしまう。次第に多くの人が、在来生物が、後にプーニーと呼ばれるものに変化してしまう。火に弱いからと火で始末しようとして、火事が広がり、パニックとなる。
どうやら地球がクラゲのようなものに覆われ、その中からプーニーは来たらしい。そしてその中に核のようなものがあり、それが誠一の近くにあるらしい。その核を破壊すれば、クラゲ状のものも、プーニーも力を失い絶滅すると、科学者は考えている。その役割を期待される誠一だが、かつての生活に絶望し、今の暮らしに満足する誠一は無視する。
次元の壁を乗り越え、地球からこの世界に入り込んでくるものを突入者と呼ぶ。その第一号に出会って、話すことで、誠一は自分と地球の現状を知る。しかし、今の生活に満足する誠一は第一の突入者を殺してしまう。
ここまでが第一章。

第二章では、地球側が描かれる。プーニーに対する適性が弱いものは、見ただけで死に至るが、強いものは回りを取り囲まれても平静さを失わない。
中学に入ったばかりの女生徒聖子は平凡な生徒だった。ダイエットのために始めた早朝ランニングでアスリートになり、男子の友人児島もできた。
そんな二人がプーニーへの耐性が強いとわかり、プーニーに囲まれた人を救出する国の機関に協力するようになる。避難路を確保し、避難民を助けるために全国を飛び回る聖子。聖子はプーニーキングにも出会う。プーニーに同化されながらも人の意識を失わないもの。だから言葉で意思の疎通ができる。しかもプーニーを操ることもできるもの。
そして第三章では、プーニーキングだった男が、地球で殺されて、誠一の世界で魔法使いとして登場する。誠一の世界で魔物と呼ばれるものは、どうやら突入者が、次元の壁を乗り越えるときに、変化したものらしい。耐性の強いものは人の姿のまま、あるいはさらに強い力を持つ者として転生する。
第四章では誰よりも強い耐性をもつ少年理剣が登場する。いじめにより、プーニーを口に入れられて、プーニーキングとなった理剣。母親は恨んで、いじめっ子を射殺し、死刑囚となる。数年、かって気ままに暮らしたあと、理剣は突入者に志願して、全世界で千人規模の突入者の仲間入りする。
誠一の世界を破壊するために、送り込まれた彼らにより、誠一の家族も友人も殺されてしまう。なぜか一人地球に戻る誠一。プーニー被害を受けたものは彼の罪を弾劾し、死刑を望むも、政府はかの世界のことを知る唯一の生き証人として、誠一を保護し尋問をする。
誠一の現実への絶望から生まれたかのように見えるあの世界。家族を失いあの世界で絶望した誠一により、あの世界は滅び、地球は救われた。あの世界での幸せな生活を思うほど、地球での暮らしに不平不満がたまる誠一。家族を失った女性により、死の手前に放置された誠一だが、助けを求める機会を得た時に思い出したのは、あの世界だった。地球で惨めな命を伸ばすよりも、死んであの世界に帰ることを望んだ誠一。

どちらが幸せなのか?よいと思って行ったことで、恨みを買うこともある。人の世の理不尽さ。