南北朝の時代、太平記の時代を生きた兼好法師が実は、その時代の展開を策していた影の一味、日影一族の指導者だったという、一見荒唐無稽なテーマで描かれた太平記の物語。
身分は低いが卜占の技で貴族の末席に連なっていた卜部家。
元寇があった頃に生まれた兼好、その時代は鎌倉時代の末期で、天災が相次ぎ、京の都では二つの家系が天皇の位を争い、庶民の暮らしには異装の党や破壊僧がはびこる末世の時代。下克上を声高に叫ぶものもいた。そんな破壊僧無名法師。当時、次次代の天皇となる皇子につかえる家司となっていた兼好。無名法師の話に興味をもち、のめり込むことはないが、その後親交を保った兼好。
世の不安を煽り、乱世を導くために活躍する無名法師の一味に荷担し、軍師気取りで口を挟んでいた兼好は、彼らを日影一族として結束させ、闇の世界で画策して、下克上の乱世に世を導くことになる。
天皇新政を目指す後醍醐天皇に、悪党楠正成を協力させたり、関東では源氏一門で、対立する新田氏と足利氏を動かし、鎌倉幕府を滅ぼし、天皇新政に波風をたてて、世の乱れを誘う。武家政権や貴族には虫けらのごとく扱われた庶民を世に出すべく画策する日影一族の暗躍は、織田信長や徳川家康にまで、その暗躍が続く。