隠蔽捜査シリーズ第7作、短編集としては2作目。前の短編集が、刑事部長伊丹の視点で描かれていたが、今回は彼を含めた竜崎大森署署長の回りにいる人々がそれぞれ主人公となる短編集。
最初に登場するのは大森署副署長の貝沼。容疑者逮捕が1社の新聞社にスクープされたが、誤認逮捕の恐れがあり、署長に知られる前に対策を講じようとするも、結局最後には竜崎に任せることに。

二番目に登場するのは、警視庁警備部のキャリアで美人の畠山。米大統領訪日の際に、本部長に抜擢された竜崎の秘書を勤めた。ハイジャックに対する訓練を受ける彼女が、唯一の女性であることから疎外感を感じ、竜崎に助言を受ける。

三番目は、大森署を含む第二方面本部の管理官野間崎。新任の本部長に日頃苦々しく思っていた大森署に問題があると言ってしまい、本部長が竜崎に会いたいと言い出し、困惑する。

四番目は、大森署の刑事課長関本。管内で起こった強盗殺人事件で、犯人を見つけた刑事戸高が、人質をとった犯人を銃撃して逮捕する。銃の使用が適切かどうかで悩む。

五番目は大森署の地域課長久米。地域課の刑事が職務質問した相手が、あとで手配中の窃盗犯だとわかり、刑事課や警視庁の第三課の刑事から苦情を言われ、喧嘩腰になるも、最後には竜崎の判断で落ち着く。

六番目は刑事課の関本の部下である強行犯係長小松。警察庁の通達で、検挙数や検挙率のアップを命ぜられ、それに反発した刑事たちが秘策をねり、お陰で困ったことになる。最後は通達は無視してよいという竜崎の判断で落ち着く。

最後の七番目に登場するのが、刑事部長伊丹。必要もないのに現場にいきたがり、冤罪事件を産み出しかけた。どうすればいいかと問う伊丹に忠告するのはやはり竜崎。過ちを認めて謝罪するという当たり前のこと。

竜崎の存在が大きくて、長編では見逃す、彼の回りにいる仲間たちの竜崎への依存と親愛感を鮮やかに浮き上がらせる作品となっている。