紅雲町珈琲屋こよみシリーズ第7作。
北関東の町で、お草さんが始めたコーヒー豆と和食器を扱う店、小蔵屋。常連客や昔馴染みに囲まれて、日々を過ごすお草さんの回りで起こる事件や騒動を描くシリーズ。
今回は少し重いテーマになっている。性犯罪。
この町に引っ越してきた大学教授佐野。その奥さんが小蔵屋に時々来る客だった。その奥さんから息子の就職先を依頼された草。女性問題で首になった30才の息子。偶然知った先を紹介して、無事に就職が決まった息子。
その息子が小蔵屋の駐車場の隅で、女性を暴行した。被害者はもとアイドルで、今はこの町の会社に勤め、小蔵屋にも出入りする女性。暴行から日がたってから警察に届けたものの、証拠もなく、町の有名な教授の息子では、否定されたら逮捕もできない。かえって、被害女性が、週刊紙やネット、さらには近所の噂で話の種になる。
駐車場で女物の下着と靴下を見つけた草だったが、密かにし舞い込む。拾ったのは暴行事件の前日の朝。となると、別の被害者もいるかもしれない。そういえば、店で働く元アスリートの久美の様子がおかしかった。でも本人に聞くこともできず悩む草。
両親の店の蔵を改造して店を開いた草。その才覚を見込まれて、古い家屋を買わないかという話が来る。その使いとしてやって来たのが、謎の山男。地元ではしられた食品会社の三男坊だが、家業にはつかず、もっぱら山登りをしてる変わり者。最初は誤解から変ななりそめだった久美と山男は接近していく。久美の高校時代の友人の夫の同級生とわかる。
警察の調べも証拠がなく行き詰まる。しかし、犯人は常習犯ではないか?次の犠牲者が出るのではないかと、やきもきする草。
元アイドルがすべてを諦め、上京したあとに、ようやく久美は草に打ち明ける。未遂だったと。だから通報したくない。世間の噂はくちさがない。未遂だと信じてもらえず、家族などにも迷惑をかけると。
そんな草がついに告発し、犯人は逮捕され、自供する。息子を溺愛した教授の奥さんは実家へ行き、教授は引っ越して、町は平穏になる。
ある冬に草の回りで起きた一騒動を描いた今作は、正直読後感はあまりスッキリしない。