弥勒シリーズ第5作の長編。
北町奉行所同心の木暮の後輩で、本勤並になったばかりの若い同心赤田が、女郎と心中した。現場を訪れた木暮はいくつかの疑問を抱く。そして、馴染みの品川の遊女屋の女将お仙との共通点に気づく。彼女はもと同心の妻女だったが、夫が遊女と心中し、跡継ぎもないため家はお取りつぶしになり、借金の返済のために遊女に身を落とした。
真面目一方の同心が遊女と心中、その裏には何があるのか?木暮は単身調べ始める。そしてある構図に気がつく。その影にいるものを誘き出そうとして、木暮は馴染みのお仙を囮にし、その警護にと遠野屋の主を引き出す。清之介は、木暮の心中を知りたいがために、それを承諾する。
2つの心中事件の背後には、金で請け負う暗殺集団がいた。それを察知しながら、証拠がないために、同心木暮は、身内同然のものさえ、非情にも囮にする。己の中に虚無を抱え、それに生きる同心木暮、過去の虚無を克服しようとあがく商人遠野屋清之介、互いに引かれたり反発したりしながらも、離れることはできない二人、その間にいて、両人に引かれ反発しながらも、やはり離れられない岡っ引きの伊佐治。3人の主人公の今後の関係はどうなるのか?興味深くて、続編を読まずにはいられない。