弥勒シリーズ第4作の長編。
高橋に流れ着いた死体。町人のみなりだが、実は剣の腕がたつ武士だと看破する同心の木暮。そのわけを推量する岡っ引きの伊佐治の密書でも運んでいたのではないかという言葉に反応する木暮。いきなり腹の傷口に手を突っ込んだ。そこから引きずり出した革袋。中には青い石が入っていた。七宝のひとつ、瑠璃ではないかという木暮。さらに死体を無縁仏として葬ると世間に広めれば、下手人か瑠璃を狙う者が現れる餌になるかもしれないという。
一方、遠野屋には武士の訪問がある。清之介の兄に仕える剣術自慢の伊豆小平太。川で見つかった死体は国許の弟なので、清之介に引き取りにいってほしいという。しかし遠野屋の主は断る。国許に関わることに近づきたくないので。
折しも木暮たちが現れる。瑠璃の鑑定を求めて。それをみて、何かを思い出した清之介。
その夜、武士を捨てたときにおりんに渡した刀を探す清之介。そこにくくりつけてあったお守り。それは庶子の子として生まれて放置された彼を育ててくれた乳母のしげの形見の品だった。しげが生家で代々受け継いでいたお守り。その中に、瑠璃の欠片が入っていた。
国許から密かに運ばれて来た瑠璃、国許で乳母が持っていた瑠璃。これはどういうことか?国許に瑠璃の出る場所があるのか?
一晩悩んだ末、遠野屋の主は過去と、国許と対峙することを決意する。以前に、伊佐治から受けた忠告、過去を拒否していては何も変わらないと。
同心木暮と岡っ引きの伊佐治を料亭に呼び出して、過去のすべてを打ち明ける清之介。瑠璃の謎を解明するために、国許へ旅することにしたと伝える。思わずついていくという伊佐治。
こうして、二人は清之介の国許である瀬戸内海に面した西国の藩に向かう。しかし、調べにいくといいながらも、遠野屋は事前に周到な準備をしていた。瑠璃の正体にも気付き、それが藩財政の改革には役に立たないことを予測し、それに変わる財政改革の方法をもすでに予想し、その調べの準備もしていた。
陸路で大阪まで、船で国許に向かった清之介と伊佐治。国許では乳母の生家のある山奥の村に向かう。二人をつけてきた伊豆も合流し、さらに前もって手伝いに雇っていた漁師と紅花栽培に詳しい男が加わる。しげの生まれた村は廃村になっていた。近くに嵐で崩壊した崖があるときき、見に行った一行はそこで白骨化した遺体を見つけ、さらに瑠璃の塊を見つける。どうやら瑠璃は隠れキリシタンの拝んでいたマリア像だったとわかる。崖崩れで壊れ、一部が川を流れて発見されたという経緯。
その証拠を携えて、現在の藩の家老に面会した清之介。瑠璃は幻だと伝え、代わりの藩財政の改革案として、紅花栽培を進言する。土地なども向いているが、唯一の難題は輸送のための川の整備。それに必要な金は、遠野屋と藩ゆかりの江戸の商人が出すという。
彼の熱意が通じたか、紅花栽培に進むことになった藩の未来に曙光は見えたか?