警視庁失踪課・高城賢吾シリーズ第10作。前作で十数年行方不明だった高城の娘綾奈の遺体が白骨化して見つかる。家事で焼けた建物の土台の下に埋まっていた。
そして、再び捜査本部が立ち上がり、犯人捜索が始まるが、手がかりは何もない。
高城は身内だからという理由で、本部にも入れず、捜査することも禁じられる。それでも同期だった刑事から、失踪当日の娘の目撃者が現れたと、ひそかに打ち明けられる。同期の刑事が最初に尋ねたときには、目撃したとはっきり発言したのに、高城が会いに行くと、証言を鈍らせる。何度か訪ねると、犯人扱いされて迷惑だと弁護士を通じて、課長宛に抗議してくる。その態度の変化に疑問を浮かべたものの、すぐには追求できない。
娘の同級生への聞き込みはされていたものの、それ以外の当時の生徒たちへの聞き込みはされていたもののいなかったことから、最初は高城の発案で、やがて捜査本部でも、現在の居場所探しと聞き込みがローラー作戦で行われる。
その結果、失踪直後に引っ越して、行方がわからない母と息子が浮かび上がる。高城は勘を頼りに、そこ母子の追求を始める。都内での引っ越しのあと、母子は母親の実家である秋田の旅館へ。そこもつぶれて、岩手へ引っ越した母子。
何かから逃げるように、引っ越しを続ける母子。周囲に溶け込まず、隠れるようにして暮らす母子。中学を出てからは引きこもる息子。彼らの行く先々に現れる男の影。
そしてついに、高城は息子が事故死したことを知る。その後母親の行方がわからず、捜索を続ける高城に意外な知らせが届く。以前疑いを持った目撃者が自首してきて、高城に話があるという。
どうやら娘の死には、母子が関係していると想像を巡らしていた高城。
出頭した男は事件前はその母親と再婚する予定だったという。綾奈を見かけたのも事実だが、その直後に失踪した母子に疑いは抱いたが確認はできなかった。代わりに、ひそかに後を追い、援助をしていたらしい。最近母親から連絡を受け、真実を打ち明けられたという。
それを聞いて岩手に戻った高城は、部下の調べでわかった母親を訪ねる。ガンで死期の迫った母親も高城に話があるらしい。単身病室で話を聞く高城。娘の死の真相は単純な事故死だった。ただ、母親が死んだ娘を近所の工事現場に埋めて隠し、失踪したために真実が隠されてしまった。
話を聞いた高城は、いまさら死期の迫った母親を責める気にもならないし、かといって許す気にもなれない。
ぼんやり町をさ迷う高城を東京へ呼び戻す仲間たち。新たな事件が起こっている。