医薬品関係出版社に勤める響子は、従兄弟が行方不明ということを叔母から聞き、その行方を探すために九州へ赴く。従兄弟の漣は古代史に関心が深く、今回もある謎を確認するために、旅だったと思われる。残された記録から、大体の日程を知ると、その跡を追うように旅に出る。
卑弥呼と邪馬台国に関心があった漣だが
、行った先は、宇佐神宮、高千穂神社、天岩戸神社のメモがあった。
さらに、宇佐神宮、百体神社、化粧井戸、凶首塚古墳というメモも。
同じ頃、その宇佐神宮では殺人事件が起こっていた。宇佐神宮内の霊水井戸に女性の左右の手と頭部が投げ込まれていた。さらに、その近くにある凶首塚古墳の近くで首吊り遺体が見つかる。そして、霊水井戸の第一発見者である氏子の女性が絞殺死体で見つかる。
さらにそれ以前に、高千穂神社の夜神楽にて、舞手の男性がわずかな休憩時間に、首なし死体で発見される。
大分県警、宮崎県警による捜査は進展しない。
響子は理系のため、歴史や古代史には詳しくない。タブレットを持ち歩き、その都度、ネットで情報を得るものの、それらの関係や意味がよくわからない。ために、以前に知り合い、事件を見事に解決に導いた男、漣の知り合いの漢方薬局薬剤師桑原崇に、連絡を取ろうとするも、漣と相前後して旅に出ていた。
漣の足跡を追った響子は、天安河原の土産物店にいた女性に襲われたものの、同じ店にいた崇により救出される。さらに、襲った女性も逮捕され、その女性が高千穂神社の事件に関わるという、崇の説明から、大分宮崎両県警による合同捜査が行われることになる。崇は、警視庁や京都府警にも顔が利くことがわかり信用された。
逮捕した女性の供述により、監禁されていた漣も無事に保護される。
犯行一味も逮捕され、彼らに協力していた大分県警の警官は、自殺した。
犯人は逮捕されたものの、事件の動機に関しては警察にはいっこうにわからない。
それを解き明かすのが、崇の独壇場。天照大神は天照という男神の妻であり巫女だった。天照は後の朝廷軍に謀殺され、それを封じ込めたのが天岩戸だという、古代史に関わる新説だった。天照大神は、卑弥呼と同体であり、彼女も後に暗殺された。九州に住んでいた現地人たる隼人の棟梁が天照だった。その隼人を謀略によって次々と殺戮し、その結果の呪いを封じるために、神社の祭礼が今も行われている。
崇の大胆で奇抜な古代史ミステリーの解明は、今まで疑問だった数々の矛盾をスッキリさせることができるものの、それは現在の天皇家を引き下げることにもつながりかねない政治的な問題にも関わることだった。そんな秘密を公にされたくない事件に関わった一族の末裔たちによる、謎を封じ込めるための連続殺人事件だった。
興味深い考察ではあるが、古代史に疎い私にはその真偽に関してはなんとも言えない。
ただ、最初の事件が起こる場面の描写に比べて、後半、特に漣と響子が保護されてからの描写は、物足りなさを覚える。ミステリーとしてはつまらない印象かな。