2014年に、第5回創元SF短編賞を受賞したタイトル作と、関連する作品を集めた短編集。
最初は戸惑ったものの、次第に引き込まれ、最後まで読んでしまう。
主人公は記憶翻訳者インタープリタと呼ばれる特殊な職業につく女性、珊瑚。
生まれつき、他社の気持ちに共感する能力が高い彼女は、あまりの共感力の強さから、一時は自我さえ失いかけたが、14才で自我の再構築をなし、インタープリタとしてトップクラスになる。依頼人の心から抽出した記憶データーに潜行して、そこに読み取った記憶を他社に理解可能な映像として再構築する技術者。
最初のタイトル作で、珊瑚が潜り込むのは、彼女を雇っている九龍という会社の社長。世間で忌み嫌われていたHSP、ハイ・センシティブ・パーソナリティは、他人の受けている刺激を自分自身のものとして感じる能力が強いために、シャカイデハ受け入れない存在だった。そんな彼らの能力をいかして、他人の記憶を理解し、第三者にもわかるようにデータに変換する技術やツールを開発する会社を起こした社長。それを利用して、他人の記憶を追体験できるプラットホーム、擬験都市九龍を運営する会社。
死病となった社長の依頼で、彼の記憶を記録しようと潜行した珊瑚は、幼かった社長が飼っていた愛犬風牙に襲われる。なぜか?

2編目では、珊瑚の兄貴分が作った閉鎖回路。九龍都市に作られた恐怖の館のなぞに挑む珊瑚。

3編目では、幼い頃の記憶のない珊瑚に母親を名乗る女性が現れる。今は新興宗教みなもとの導き手として、HSPたちを導いている。
しかし、どこかにごまかしがあると気づく珊瑚。

最後の編では、前記の導き手都の家族のことが描かれる。ここではなぜか、彼女の娘として、幼い珊瑚が登場する。

こういうSFっぽい話は苦手で、最初は読みづらかったが、いつしか珊瑚に引き込まれてしまう。こういう話も悪くないなと。