読んだことがあるような気がしていたが、どうやら似てるが別の作品を読んだのだったか。
地方の寂れたシャッター商店街をよみがえらせる奇策を描いた物語。
主人公は赤羽で、父譲りの印刷所の町工場を営んでいた中年男、笠井武。苦しかったがどうにか家族と従業員を養うだけの仕事はこなしていた。
そんな武が不動産屋の安間のもうけ話に乗り、不足資金の5千万円の借金の保証人になったのが運のつき。利息が安いと騙されて、街金の融資を受けたばかりに、借金が増え、1億近い金額にまで膨れ上がる。取り立ての厳しさのため、安間が蒸発し、武が返済するはめになってしまう。工場と従業員を手放し、妻も離婚して、一人、死に場を求めて電車に乗り込んだ武。
たどり着いたのは群馬県の地方都市大前泊。
駅前の商店街はシャッターがしまり、灯りもない。雨をしのぐ場所を求めてたどり着いたのが、無住の寺。勝手に入り込んで、雨に濡れた服の代わりに、袈裟を着けて眠り込んでしまう。
朝起きたら、やって来た老夫婦に、新しい住職と勘違いされる。シャッター商店街と化した100軒あまりの店主たちの平均年齢が65歳を越えるという、死にかけた商店街。食べ物屋以外、もう5年以上開けてない店ばかりで、誰もがポックリ死ぬことを願っている。寺の住職に願うことは、ポックリいくように祈祷してもらいたいと。
日々の暮らしに必要なものは、店主たちが持ち寄って賄ってくれる。食べ物も一人では食べきれないほど寄進してくれる。何もしないで生きていけると安心していた武だが。
ポックリ行ける祈祷を強要されるようになり、ついに頭に来て、商店街再興の奇策を提案する。不良在庫になっている商品をすべて、100円均一で売れと。
あとがどうなるかは考えもしない無責任の発言だったが、商店街組合長の喫茶店を皮切りに始めてみると、以外に客が増え、賑わってくる。パン屋、文房具屋の成功で、商店街全員で同じことをすることになる。家電品や着物はまるでコストが違うものの、考え直せば、数年不良在庫になり、型落ち、流行遅れになり、売れる当てのない商品を処分すると思えばいい。もうけは、着付けや修理などのサービスで出せばいい。
周辺の大型ショッピングセンターにとられた住宅街の客も、100円ならばと押し掛けてくる。
閑古鳥の泣いていた商店街に溢れる人の群れに、店主たちも新たな生き甲斐を感じるようになる。テレビの取材も入り、わずかな放映にもかかわらず、客が殺到。
しかし、居所を隠していた借金取りにまで、居場所を教えてしまい、絶体絶命の武。
1億の借金返済のために、武を危険な仕事につかせ、ついには臓器売買させて返済させるという借金取り。
それを聞いた商店街の店主たちは、意外な提案を持ちかける。偽の坊主であろうと、武は商店街を復興させてくれた。その恩に報いるために、商店街が肩代わりするという。10年かけて1億を返済する。利息は免除と。
100軒の店主割にすると、1軒で1年で10万円。それなら何とかなる。
武を連れていって働かせても、途中で死なれたら、どれだけ元が取れるかわからないから、決して悪い話ではないはずだと。
借金取りも納得し、引き下がる。
最初に来たときには、ポックリ死ねるように祈祷してくれと頼んでいた店主たちだが、今は生き甲斐を見つけ、より長く生きられるように祈祷してほしいと、武に願う。
実際には早々うまくはいかないが、話として聞く分にはなかなか面白かった。