東京の昔かたぎの弱小やくざの親分阿岐本は、器量が大きく、そのために人に好かれ人望が暑い。若い頃には全国に兄弟分が多くできて、今は、その兄弟分の多くが、親分になっていて、その人脈が小さいながらも阿岐本組がつぶれないで存続している力になっている。
現代風のものにも興味をもつ親分だが、根は古風で、昔のよさを失わさないことに意義を見いだす。
これまで、親分は兄弟分から持ち込まれた不良債権の対処に協力するために、慣れない堅気の商売である、出版社、高校、医院の再建に協力し、組をあげて打ち込み、成功を納めてきた。ただあくまでも再建の後押しだけをして、再建の目処がたつと、手を引いて、一切自分で行おうとはしなかった。だから、兄弟分には感謝されても、たいした金にはならず、時には赤字だったこともある。
そんな親分の道楽に付き合わされてきた小頭の誠治も最初は渋々つきあってきた。
今回の道楽商売は銭湯。赤坂の一角に残る昔ながらの銭湯。利用客もなく、赤字続きで持ち主が一時は廃業しようとしたものの、なぜか売れず、結局続けることにしたものの、何かと邪魔が入り、うまくいかないでいる。
持ち主には幼馴染みのやくざがいて、何かと相談していたが、それがかえって、赤坂の暴対刑事蛭田が介入してくる。
時流で、客数が落ちてきた銭湯、もはや不要な長物と思われる銭湯に、その存続が日本文化や伝統の復活に寄与すると主張する親分。
銭湯を利用することで、社会マナーを学び、一日の疲れをとることで、生活にメリハリができて、日常での余裕も生まれ、我慢もできるようになる。そんな持論を展開して、銭湯再建に乗り出す親分。
心配性で悪いことばかりを考えてしまう誠治。変わった商売をすることを楽しむ子分たち。
まずは銭湯の意義や利用客目線のあり方を考えるために、銭湯の研修にいくことにした親分。一家をあげて、松山の道後温泉に行き、現代風の大銭湯に浸かる一家のものたち。
一日暇をもらい、何も心配せずにのんびり過ごすことを教えられる誠治。
スナックで当地のやくざと邂逅し、一触即発の危機を迎えるも、当地のやくざの親分が阿岐本親分の弟分とわかり、仲良くなる。当地の親分がぶつかっている問題、政治家と建築業者の癒着により、つまはじきされかかっていること、に適切なアドバイスをする親分。
実はこれが、赤坂の銭湯再建のヒントになる。
親分は銭湯を見聞し、問題点を見極める。夫婦と古くからいるボイラー担当の老人3人で経営する銭湯では、気持ちとは裏腹に、銭湯の清掃が不十分になっており、経営者目線での内部の設備は利用客の癒しにはなっていない。それに気づいた親分は子分に命じて、清掃の徹底と、内部設備を昔風にする。
この銭湯が直面する2つの問題点に気づく親分。家族経営でしか維持できない銭湯だが、持ち主の2人の子、大学生の娘と高校生の息子はまるで協力していない。自信のない両親との意思の疎通ができていなかった。親分は事務所に出入りする近所のかわいい女子高生と、女たらしの子分を使って、子供たちに銭湯へ目を向けさせる。
銭湯再建に何かといちゃもんをつけてくる刑事。その背後に地元の国会議員がいることに気づく親分。しかも経営再建に意欲をもつ持ち主は、彼らにとってもはや邪魔ではないことに気づく親分。関係者を料亭に集めて、親分は刑事をつまはじきにする。
銭湯にかけていたペンキ絵の富士山が描かれたのを機に、親分は銭湯再建から手を引く。あとは家族の団結で乗り越えるしかない。
親分が求めた料金は補助金の1割、数万円だけだった。渋い顔の小頭の誠治。