これは女子高生の物語だと思っていたが、一種のミステリーなんだ。
母と二人で暮らしていた藍葉は母親にネグレクトされていた。6才の時、母においてけぼりをされた藍葉は見知らぬ女性についていき誘拐されたことがある。誘拐事件は2時間後、二人の乗った車が警察官に職務質問されたことがきっかけで解決した。ずっと車の中にいたという犯人の供述は受け入れられた。
しかし、藍葉の記憶では、誘拐されたときにある部屋に連れていかれ、そこで強烈な印象を得た絵を見た。枠の中に原色に近い多彩な色の長方形が並ぶ絵。それを何度も夢見る藍葉。
彼女には色に対する特異な能力があった。それを生かすためにと、学校生活に馴染めず高校を中退した藍葉に、勤務先とアパートを世話して、母親は出ていった。その後、カメラマンとして知られるようになった母とは会っていない。
ウェブデザイン会社で働く藍葉。指示通りに仕事をこなす彼女は重宝がられていた。彼女は色を呼ぶのに曖昧な色名では満足できず、16進法で表される色名を普段でも口にする。
そんな藍葉のもとに、ある日女探偵が現れる。匿名の人物が彼女にお詫びとして、百万円を渡したいという。一度は断ったものの、後に受けとることにした藍葉。送り主の当てと言うと、誘拐した女性しか思い付かない。その時に見た絵の正体が知りたいと思った藍葉は、その金で、誘拐犯を探そうと思った。
そして、それを引き受けた女探偵みどり。出産育児のために、探偵を休んでいたみどりは、現場復帰の足慣らしにと最初は思っていた、
誘拐犯梨本朱里を探し始めたみどりは、次第にその捜査にのめりこんでいく。理解のある夫のお陰で、捜査に打ち込むみどりは、公にされた誘拐事件には隠された真実があると思うようになる。
朱里の行方を探すために、彼女の過去とその交遊関係を調べていく。
藍葉を連れていったのは朱里の部屋ではなかった。それでは付き合っていた粗暴な男の部屋かと思い、調べていくうちに危険な目に遭いそうにもなるも、みどりはあきらめない。
そしてついに、真相にたどり着くみどりだが、命を的にしての犯人との対峙の結果だった。危険だが、そこにこそやりがいと楽しみを持つみどり。彼女の先輩で、警察官上がりの探偵浅川は、そんな彼女を心配し、影から見守っている。昔、逆恨みの関係者から殺されかけた彼を救ってくれたことを恩に着てと言い訳しながら。
夢に看る絵の秘密に気づいた藍葉は、それに似た写真を撮り、それを送ることで、北海道にすむ朱里と会うことができる。
似たような感性を持つ二人は親近感を覚える。16進法の色名で色を呼ぶ藍葉に対して、朱里は色の微妙な違いを、和名で呼ぶことで区別していた。
せっかく来たのだからと、朱里に夜景の名所に連れていかれて、星空を見た藍葉。
互いにぎこちないために疎遠だった母とは結び付くものがあることに気づく藍葉。