意外に面白かった。
なんの取り柄もない青年紙野は、仕事ができる兄の縁故により、老舗の製粉会社に就職する。入社試験でも面接でもいいとこないと思われたのに、なぜか採用された。就職試験のために、古本屋で見つけた社史を読んで、感動した感想を履歴書に書いたのが評価されたのか?
小学校の感想文で佳作をとったことがあるという程度ではあるが、彼の特技は文章を読み、書くことしかなかった。
製品開発部の女性の同僚が密かに綴るブログで、紙屋はいつもけなされていた。気になる彼女に一言弁解したいと思っても口にできないひ弱さ。淡い恋。
何をやらされてもうまくできず、唯一、紙の文書に関わることだけは、正直を貫いて、評価された紙野。改竄命令された議事録を修正前と後2通を、メールで誤発信したとみせて、社員に送った。
初代二代社長の功績によりできた会社も、三代目の元社長が継いだ頃から、業界も様変わりし苦労する。新たな施策も古参社員の反発を買い、うまくいかない。そしてついに、老舗の同業会社に身売りしてしまう。
紙野がいた2年間の会社の歩みを、社史以降の2年を自費で綴る紙野。自分にできることはこれだと、退職願いを出して打ち込む紙野。廃棄処分になった社内文書の一部を持ち帰り、いくらかのエピソードを綴って、できた社史の続き。