ようやく読み終えた。
浅草にある寿司屋に訪れた佐々木という客に問われて、店の親父が過去を語るという設定。親父はもと落語家だった。東橋師匠の弟子で、稲荷町の師匠、林家正蔵にも可愛がってもらったという話から、正蔵の探偵ぶりが二つのエピソードで語られる。
親父は最初寿司職人を目指していて、将来有望だったのに、親方につれていかれた寄席で、落語にはまってしまう。落語家に転身し、前座を勤めあげ、二つ目にはなったものの、以降停滞していた。
そんなときに、評判がよくない文六師匠で迷惑を被る。そんな文六の行動に不可解なことがあり、その謎を鮮やかに解き明かすのが、正蔵師匠。
そして二つ目のエピソードは、正蔵師匠が語る写真の仇討ちという珍しい話をきっかけに、寿司屋の親父が出くわした奇妙な出来事が語られ、若い奥さんを得たなり染めにもなっている。美人の後家とその娘の女子高生とに見込まれた親父。そのわけを解き明かすのが正蔵師匠。
昭和50年代というと、私は大学を出た頃か。テレビやラジオで落語が親しまれ、大看板と言われた一流の噺家たちが芸を競った時代だという。当時は私はあまり落語に興味がなかったが。