前回拾い読みしただけだったこれをようやく読了。
一見近未来のようなあり得ない設定だが、そんなことが気にならないくらいよかった。
幼い頃家族を虐待していた父親は若い女にうつつを抜かし家を出た。母を失って二人きりになった姉と弟。その親密さが兄弟以上にも見られた。その姉が殺された。胸を刺され、全裸で花壇に横たわって発見。第一発見者は最愛の弟だった。
時にダイスと名付けられた巨大な小惑星が地球に接近していて、衝突するかもしれないという話が全世界を駆け巡り、混乱していた社会。
姉の事件も所轄の女性刑事が一人捜査するだけ。そんな状況から弟は自ら犯人を見つけることを決意する。小惑星衝突で人類が滅ぶかもしれないリミットまで5日。
クラスメイトで、母親がやくざを顎で使うような四元美咲は敬遠された存在だった。漆原はそんな美咲に頼み、拳銃を手に入れる。地球滅亡の裁きの刻までに、犯人を見つけ、自分の手で殺したいと思っていた漆原。
こうした極限の中で、漆原は姉の生前の知人を訪ね、捜索していく。
姉は誰にも愛される女性だったが、ある時から秘密の恋人ができたらしい。それは誰か、その恋人が姉を殺したのか?
姉に言い寄っていた男、姉が尊敬していた大学教授。漆原は捜索にのめり込むことで、いつしか彼女とも疎遠になり、相談相手として四元を頼るようになる。彼女は生まれつき、母に愛され、人形のように扱われてきた。そんな母親がガンで死が迫っていた。母の死により、自分が自由になることに不安と喜びを持っていた。最愛の姉を亡くした漆原がどんな風に今後生きていくのか、彼女は関心を抱いていた。
最後にたどり着いた真相は漆原にとっては衝撃的なものだった。でも、彼にはその時、一緒にいたいと思える相手が見つかっていた。
地球が滅びるかどうか、わからなくてもいい、その最後の瞬間に一緒にいて、手を握る相手がいればいい。