桜の花守として有名な祖父を持つ咲。生前の祖父が彼女に樹木医になるのを反対していたのに、それに反発して樹木医を目指す。大学院を卒業して造園会社に就職した咲。
会社近くにある大糸桜は長年祖父が守ってきた。それが今年はまるで祖父を悼むかのように花の咲きが悪い。見た目にはどこにも異常は見られないし、弱ってるわけでもない。祖父に代わり世話をする父と職人たちは、鳥により芽が食べられたせいだというが、何か違和感を覚える咲。
名人の祖父を悼んで花の咲きが悪くなったという美談を残すために、父が花の芽を切り取ったのではないかと疑う咲。勤務先のオーナーである青もそう推量したが、しかし、それで桜が痛んだわけでもない、来年にはまた見事に花を咲かせると思われる。そう考え、疑惑を公にすることを断念する咲。
職場の社長の息子で、先輩樹木医である大地から、くちなしの花に布をかけておくと、香りが移ると聞いた咲は、ストールに香りを移した。仕事帰りに立ち寄ったコンビニで、目の不自由な青年に声をかけられて驚く。会ったことがある方ですか?と。後日再度声をかけられ、不安になる咲。青が家まで送ってくれることになるが、その途中でコンビニにあの青年がいた。青が事情を聴いて、理由がわかる。以前、親切にしてくれた女性を探しているのだと。その女性も咲同様くちなしの香りが印象的だった。
ばら園を管理してる青は、近所にある花の製油所に、くちなしも扱っているのを知っていたために、目的の女性が見つかる。
電話でけやき伐採の見積もり依頼を受けてしまった咲。そのけやきは因縁の桜で、これまでも頼まれて伐採しようとした植木屋や造園業者が様々な奇禍にあっている。
知らなかったものの責任をとり、青と見積もりを断りに出掛けた咲。
実際に見てみると、樹齢数百年の大樹。通常なら指定記念物になり伐採ができないのだが、個人所有のため持ち主が伐採したがっている。
実物を見、所有者が単身で伐採しようとチェーンソーを当てたものの跳ね返された箇所を見ると、樹木の内部に石のようなものが見える。もしかして、昔あった道祖神が内部に取り込まれたのではないか?
その夜、大地と密かに見聞に来た咲。大地は合体木ではないかという。
もとの樹木のうろに安置された道祖神。その後、うろのなかにできた新芽が成長し、うろをふさぎ、上へ延びていった。
大樹には多きな鳥も棲んでいる。
所有者は孫のために保育園を作るのに邪魔な大樹を伐採したがっていた。青がどうやら孫に吹き込んだのか、孫が大樹を切らないでくれと祖父に頼んで、伐採は中止となる。
夢の中に大樹にすむ鳥が出てきて、伐採しないように孫に告げたらしい。
咲は大樹を取り込んだ保育園の庭を作ることを社長に申しつかる。