最後まで読んでみたが、少し期待はずれかな。
もと刑事でバイトで食っている加瀬が、6才の時に家を出ていき、30年会っていない父親の死の知らせを聞くところから話は始まる。今さら会う気もなかったが、多少の金を残していなかったかと、警察署へ行き、遺体を引き取る。独り暮らしだった父親はアパートの風呂で倒れ、翌日になって大家に発見された。今は身寄りは加瀬しかいない。
残された遺品の中にあった数字が書かれた鍵。私設郵便箱の鍵だとあとでわかる。そこには30万円の現金のはいった封筒があった。毎月振り込まれていた。誰かを脅迫して得たのではないかと邪推した加瀬は、アパートを捜索して、古いビデオテープを見つける。どこかの事務所を撮影したビデオには、ある事件が写っていた。場所を特定し、そこがある国会議員の事務所だとわかる。地元山梨で三代に渡る国会議員の臼杵家。三代目は差別発言でひんしゅくを買うような無能な議員。どうやらその男の犯罪の証拠写真らしい。地元ではかなりの資産家と知った加瀬は、事件を知っているとほのめかし、脅迫して、5千万円を要求する。
その臼杵家の初代の議員に拾われ、運転手と影の仕事をしていた生方。妻の介護のために退職し、今は独り暮らしの彼のもとに、先代の奥さん、三代目の母親が訪れ、脅迫のことを相談される。当時付き合っていた女子大生が別れを告げると発作的に自殺した。選挙前でまずいと、秘書だった真田に処理を依頼したという。遺体は後日山林で発見され、犯人も捕まり、服役したという。事件のことは秘密のはずだった。どこから漏れたのか?脅迫してきたのは誰か?それを突き止め、処理してほしいと。
こうして、加瀬と生方の動きが描かれていく。
そのなかにある過激派が登場する。父に送られてきた私書箱の金の発送先を突き止めた加瀬が、接触してきたことで危機を感じた過激派は、加瀬を襲い殺す。直後に訪れた生方は、ビデオを見つけ回収する。先代の奥さんに聞いていた話と違い、写っていたのは自殺事件ではなく、殺人事件だった。騙されたのを恨み、犯人の死も知らせなかった生方。
加瀬の父親は真田秘書の手伝いをした甥である同僚に頼まれて預かっただけ。私書箱の金は、過激派の指名手配中の幹部への資金運びのバイトをして得たものだった。
三代目議員は暴漢に襲われ死亡。殺人だと知っていた母親は家の存続のために、息子を切り捨てたようだ。
生方は母親にビデオなどを引き渡し去る。三代目の罪を着せられ、服役し、死んだ男の遺族への補償だけを依頼する。
バカ息子の起こした殺人事件が引き起こした黒い波紋が、様々な人の人生を狂わせた。
後味があまりよくない話。