気になっていた本作をようやく 読了。奈良県の箸墓古墳の近くにあるホケノ山古墳の発掘作業を長年してきた考古学者小池拓郎が失踪。後にダム湖で水死体で見つかる。睡眠薬を飲んだ痕跡があり、自殺する兆候もなかったため、殺人と思われ、警察の捜査が行われたが、いっこうに進展がない。小池が寄宿していた当麻寺の塔中、奥の坊の為保住職に頼まれて、調べ始める浅見光彦。
何度か当麻寺を訪れたことがある浅見は被害者の小池にも面識があった。
しかし、小池の周辺の評判では敵はない。
個人的な遺品は1通の手紙と写真を除いて、小池自身により始末されていた。そのため、残されたそれに注目して、浅見は小池の過去を調べ始める。戦前から戦後にかけて京都の大学で過ごした小池の友人関係。そのなかで起きたある出来事に端を発する殺人事件。
最初は五里霧中だった事件の背景を少しづつ手繰り寄せていった浅見。
因縁の再会が、事件を引き起こした。
箸墓古墳や卑弥呼をめぐる舞台の説明も興味深いが、それよりは青年時代の人物たちの人間関係や男女関係が興味深い。些細な誤解から生まれる恨みと人生の展開。やはりこうした人間関係こそが、事件を引き起こす。