ようやく最終話まで、読了。
ディーセント・ワークとは、主人公に言わせれば、まっとうな仕事、それを守るのが労働基準局の監督官。主人公三村は地方都市黒鹿市の労働基準監督官。捜査をするときには司法官として、その他の時には行政官として、事業所の指導、監督を行う。
三村は思う。職場で人が死んだり、怪我を負ったり、職業病になったりしない、ってごく当然の状態だ。普通のこと、当たり前なこと、まっとうなこと、それが守られるだけでいい。誰もが、普通に働いて、普通に暮らせる。それさえ実現できれば、世の中のほとんどの問題は解決するし、世界は平和になる、と。そのために働くのが、労働基準監督官だと。
そんな三村が出くわす事例が描かれた作品。
第一話では、足場の解体中に転落死した男の事例。単なる事故にも思えるが、現場にいた仲間たちに、不審がある。
第二話は、持ち帰りの残業に関する事例。経営者の命令だと指摘できず、摘発はできなかったものの、無理をしていた経営者が事故に遭うという結末。
第三話は、友人の警察官に頼まれて、コンビニ強盗の容疑者のアリバイ崩しを頼まれる。容疑者はタイムカードによれば、工場内にいたことになっている。
第四話では、三村の後輩の監督官が事業主に同情して、低賃金でパートを雇っていることに指導できないでいることに、アドバイスをする。実は事業主には別に仕事を持っていて、金に困っていないことを、三村は教える。
第五話では、工場内で見つかった絞殺死体の事件。単なる殺人なら、警察に任せればいいが、特殊な状況のために、労働基準監督官も捜査に加わることになる。死体は檻の中にあるロボット機械の前で見つかった。出入り口には、人が出入りすると機械が止まる安全装置がついていた。それなのに、死体が見つかったとき、機械は動いていた。これでは、被害者も加害者も中には入れないはず。あるいは。安全装置に欠陥があるのか?それを確認するのも労働基準監督官の勤めになる。
第六話では、三村は二つの危難に見舞われる。ひとつは別居してる妻から妊娠してると告げられたこと。ずっと関係を持っていないから、つまりは妻が浮気して妊娠したということ。
もうひとつの危難は、いきなり三村が罷免されそうになること。新たに就任した厚生労働大臣が、三村を罷免するための手続きを始めたという。容疑については秘密にされていて、訳がわからない三村。上司や友人が手を回して調べてくれて、大体の事情がわかる。以前摘発したベンチャー企業の社長が、三村に恨みを抱いていて、三村を罷免させるプロジェクトを立ち上げているらしい。それも、相談者の女性に便宜を図ってやった謝礼に、三村が彼女をホテルに連れ込んだというスキャンダルをでっち上げ、証拠写真も用意しているという。簡単には潔白を立証できないからと、監督署の上層部は三村に退職を勧めてくる。一端はそうしようとした三村だが、上司の忠告により、労働者の一人として断固として戦うことを決意した直後、大臣と社長の贈収賄が特捜部により明らかにされ、三村罷免の話はたち消えになる。
妻との問題がどうなるかは、描かれてない。
続編でもあるのか?