警視庁文書捜査官シリーズの前日譚と言える作品。エピソード・ゼロ。
空き家で見つかった死体は絞殺された上に、顔面を殴打されていた。側の壁には緋色の文字が2つ描かれていた。品と蟲。さらに、会社の議事録のようなメモも落ちていた。
その現場に現れた所轄の女刑事鳴海巡査長。残された文字に異常に興味を示す彼女に興味を持つ警視庁捜査一課の八係係長の永井。
被害者は小さなソフトウェア開発会社の社長。
捜査本部が立ち上げられ、鳴海は永井の部下である国木田刑事と組んで、特命班として、残された文字の謎を追うことになる。以前相棒になった若い刑事の無謀さから腹を刺されて休職したことがある国木田刑事。またも若く、女の刑事と組まされ、不機嫌になる。怪我をしたことがきっかけで何かと心配してくる上司の永井ともうまくいってない様子。それでも、文字に関しては熱中し、思いもかけない知識を出す鳴海に、興味を覚える国木田。
捜査が進展しない内に、第二の事件が起こる。被害者は最初と同じ職業だが、勤務先は大会社で、官公庁のシステムにも関わっていることを理由に、警察の捜査に非協力的で、捜査が難航する。第二の現場にも2文字の緋色の文字が描かれていた上、被害者は胸を殴打されていた。さらに、システム不具合の内部資料と思われる文書が残されていた。さらに被害者が支社長の息子で、あるプロジェクトを担当していたことがわかるが、それ以上のことがわからない。
そして起こった第3の事件。今度も同じ職業の被害者で、会社は中堅。
捜査を進めて、消防庁のシステム開発に関わるプロジェクトが進行中で、それに問題がありそうだとわかる。しかも第2の被害者の会社が元請けで、第3の被害者の会社が下請け、第1の会社が孫請だとわかり、3人の被害者の繋がりもわかる。
そして、以前に第2の会社の担当者が交通事故を起こし、死亡したことを知った鳴海らは、その担当者が開発の超過重労働のせいで事故を起こしたことを知る。しかも、元請け会社の担当者であった第2の被害者の無茶な要求と、孫請会社の社長の無責任さの間で苦渋をなめたことを知る。
犯人は事故死した女性の家族など身近なもので、復讐のために殺人を起こし、システムに細工をして、プロジェクトの失敗を策したと考えられる。
そして、第2の会社の支社長が誘拐され、犯人を特定した鳴海らは犯人の居所を、残された遺留品から導きだし、ついに犯人に接触し、逮捕する。
この事件がきっかけで、鳴海の文書からの捜査に意義を見いだされて、文書捜査官が誕生した、ということか。