警視庁53教場シリーズ第三作。
もと警視庁捜査一課の刑事だった五味、今は警察学校の教官になっている五味が、警察学校に関わる事件の捜査に活躍するシリーズ。
今回の事件は、移動中の女囚が府中警察署内で脱走、そして卒業式でにぎわう警察学校内に浸入し、生徒を人質に立てこもるという重大事件が勃発する。五味教官の生徒3人と共に、助教で、五味の友でもある高杉も人質になるという。逮捕術を教える高杉が易々と捕まったのはなぜか?
やがて犯人は、3年前の幼児殺害事件の犯人とされた女囚の冤罪を晴らすことを要求してくる。そして、女囚に協力しているのが、暴力団のブレーンを勤めていた、今は出所した老囚人だとわかり、犯人の策略により、警察は翻弄される。
そうしたメインの話と平行して、五味や高杉らの個人的な話も展開していく。五味と何度か捜査を一緒にして、心を寄せる府中署の女刑事瀬山綾乃。二人の恋の行方も気になる。何せ冒頭のエピソードが二人の初めてのデート。さらに、五味の亡き妻の残した連れ子の娘、結依の実の父親は高杉だった。しかも16才になる娘がいることを、最近知らされたばかりの高杉。こちらの二人も初のデートを迎える。これまでの娘の成長の様子を写真やビデオで知らされながらも、今一つ満足できず、不満を持つ高杉。女囚と行を共にすることにした高杉の動機のひとつは、同じ親として持つ、子供との疎外感だったのかもしれない。
双子の一人を亡くし、残った子供との絆が失われることを恐れて、刑期半ばで脱走した女囚の母親。時代が代わり、組から捨てられた老いた暴力団員。さらに、警察学校を追放された、もと警察官志望の若者。彼らが交わることで引き起こされた前代未聞の事件。緻密に構築されていた犯罪が、ある点から犯人の狙いがわからなくなり、困惑する五味たち。彼らの目的に気づいたとき、五味は解決に向かうことになる。