以前にも一度借りたものの、数頁で挫折した作品。今回ようやく最後まで読めた。
北村さんのデビュー作「空飛ぶ馬」以降数冊出ているシリーズの、最新作。国文学を学ぶ女子大生と若手落語家のコンビによる日常のなぞミステリー。前作「朝霧」で、女子大を卒業し、出版社に就職した主人公。今作は、それから二十年後の主人公が登場する。野球部にいる中学生の息子がおり、夫もいるが、いまだに出版社の編集員として働いている。
今回の謎解きは、文学上の言葉などに関するもので、その点で、通常のミステリーに比べ、面白味が感じられず、前に借りたときは挫折したが。
主人公は謎を見つけると、待てずに動き出す性格で、これは変わっていない。仕事や家族との隙間を縫っては、調べるために動く。
今回の謎解きの旅は、ピエール・ロチをきっかけに、芥川、三島、太宰へと近代文学の作家たちに絡んでいく。正直、この辺りの作家はほとんど読んでいないし、あまり興味もないが、謎解きには付き合ってみた。大学生の頃に、一時太宰にははまったこともあるが。
こんな読み方もあるのかと感心する一方、そこまで調べるのと驚く展開もある。大学時代の親友の正ちゃんとの再会は、いいなあと思う。自分にそういう存在がない分、羨ましさも感じる。
今作に登場する落語家、堂々たる真打ちになっている円紫師匠は、謎解きには参加しない。
米沢穂信さんの解説では、ここで取り上げられた作家の作品は、みな翻案小説という点で結び付く。それによって、様々な事柄が結び付くのだと。作家の誠実さ。作家は好きなように書くことができるが、翻案ならば、元の作者に対する誠意を見せるかどうか?
さらにもうひとつのキーワードがロココ。三島が芥川をそう称した。主人公もその言葉が好きだった。太宰が記したロココの意味、それを太宰が日常持ち歩いた辞書にあるのではないかと、その辞書を探索するタイトル作。
ロココと翻案、二つの言葉は、太宰の作品中の引用、<純粋の美しさは、いつも無意味で、無道徳だ>で、統合されると、米沢さんは言う。