連休最後の締めは、浅見探偵。
今回の舞台は岩手県。お馴染みの編集長の依頼で、岩手県花巻市に、花巻祭りの取材にいった光彦。ついでに関心がある宮沢賢治をテーマにした取材もしようと出掛けた。
市の観光課の紹介で、とある町の山車製作現場を訪れた光彦は、そこで出会った女性の夫が、翌日イギリス海岸で死体で見つかった事件に興味を覚える。賢治が名付けた北上川の川岸。調べていくと、被害者は、幽霊を見たと電話で話していた。
祭りの初日には、これまた賢治の作品に登場するさいかち淵で、毒殺死体が見つかる。被害者は前のと知り合いらしい。二つの事件に関連があるとにらむ光彦。
最初の殺害現場付近を調べていた光彦は、捜査中の刑事小林に不審に思われて、近くの駐在所で質問される。その駐在所に届けられていた落とし物の高級な万年筆に注目する光彦。誰が?どんな状況で落としたのか?あるいは殺害犯が落としたのではないか?こんな万年筆を使うのはどんな人物なのか?

二人の被害者には恨まれることもなく、捜査が行き詰まる警察。それに対して、殺害された事実から出発するべきだと、小林刑事に主張する光彦。最近の被害者たちに、事件に巻き込まれる材料がないのなら、過去にあるのかもしれない。幽霊を見たという言葉が比喩なら、それはかなり昔の人物か死んだと思われる人物ではないか?
浅見が捜査に関わることを迷惑だと思っていた小林だが、浅見の身元紹介をしたあとに、なぜか、上司が浅見に協力してもらえと言い出し、驚く。その結果、小林刑事は、浅見の推理に従い、彼と行を共にすることになる。

その結果、被害者二人が中学時代に四人組のいじめっこで、いじめられていた転校生の母親を死なせてしまったことがあるとわかる。
いじめられていた又という男が犯人か?
いじめっこのボスであった大杉は、いまや教育評論家として有名になり、市の教育委員でもある。
そんなときに、北上線で男が列車にひかれる事故が起きる。近くに男の車があり、車内に遺書らしき文書が見つかり、警察は自殺として処理しようとした。
万年筆に修理したあとがあるのに気づいた光彦は、修理業者を求めて、仙台から東京にまで足を伸ばして、ついに持ち主を特定。持ち主は東京の広告会社を退職して、故郷の岩手県南部の一関市でジャズ喫茶を開いていた。エッセイなども書く店主が愛用していた万年筆だった。訪ねていき、話を聞く光彦。店主はふりの客に盗まれたという。そしてその犯人が新聞記事になっている列車に引かれた男だった。
浅見から死んだ3人のもと同級生の話を聞いた警察は、昔のいじめと母親の死の恨みから二人を殺し、自殺したのだと幕を引こうとする。いじめっこの残り二人は、今は敵対する関係だが、なぜか事故当時遠くの店で会っていたというアリバイがあった。
それでも一抹の不審を覚える光彦は、残る二人のアリバイ崩しにいどみ、ついに真犯人と共犯者をあぶり出す。
宮沢賢治が理想郷として名付けたイーハトーブで起きた連続殺人を暴き出した光彦の事件録。