京都市の北部の住宅街で紳士服店を営む曽根俊也。入院した母に頼まれて、母親の部屋に入ったのが、きっかけだった。電話代の引き出しの中に見つけた黒皮の手帳とカセットテープ。手帳には英語で何かが書かれているが、よくわからない。テープを聞いてみると、幼い頃の俊也の声が聞こえる。そして、自分が奇妙な文章を読み上げている声が。
手帳の終わりの方には日本語で、関西の菓子メーカー会社の名前がいくつか書かれている
調べてみると、30年ほど前に起こった企業恐喝、誘拐事件が起こった会社だった。しかも、テープの文章が、犯人が送ってきた指図の言葉だとわかる。それでは、自分は犯人一味に利用されたのだろうか。なき父は犯人の一味だったのか?職人かたぎで真面目な父親には結び付かないが。なぜ、父の遺品と共に母が持っていたのか?

一方、大阪に本社がある大日新聞の文化部記者の阿久津は、上司からの連絡で、社会部の手伝いにいけと命令される。
社会部では年末企画として、昭和、平成の未解決事件の特集を予定していた。大阪本社が担当するのは、ギン萬事件だという。ギンガ、萬堂という二つの日本を代表する菓子メーカーが、毒入りの商品をばらまかれたり、社長が誘拐され、犯人は捕まることなく闇に消えた。その数ヵ月前には、海外で似た事件が起こっていた。1983年オランダのアムステルダムで、ビール会社ハイネケンの社長と運転手が若者に誘拐され、身代金により解放され、その後犯人も次々に逮捕された。
その当時、事件のことを調べている東洋人が目撃されており、警察などにマークされていた。犯人逮捕後、無関係だと思われた。ロンドンには誘拐犯との交渉をする者がおり、欧州の記者がその人物を知っているというので、話を聞いてこいと命令された阿久津。さらに、謎の東洋人についても調べてこいと言われる。

こうして記者として、ギン萬事件に関わっていく阿久津と、家族が犯人一味ではないかという疑いのもとに、事件を調べていく曽根。
二人の調査の道が交わる頃、事件の真相が明かになり、生き残りの犯人一味と、知らずに協力させられた少年たちの、その後の人生と心に残る想いが明らかになっていく。そのすべてが報道され、世間に明らかにされた結果、関係者に救いは生まれたのかどうか?

正直言えば、この手の話は苦手で、前半3分の1と、後半の3分の1位を読んだだけで、半ばをほとんど読んでいないが、あまり読むきになれないので、やめておく。
どうやら、名前だけは覚えているグリコ、森永事件というものをもとにして書かれたフィクションらしい。ただし、あとがきで著者は、モデルの事件や報道に関しては、極力史実に基づいて描いたという。
子供を巻き込んだ事件という点に焦点をあて、その後の子供たちの行く末を想像して書いたものだと。