鯖猫長屋シリーズ第5作。
今回は臨時回り同心の二キの旦那のそばにいる孫のような少年太市が、騒動のもとになる。実は彼は女盗賊が捨てた子だった。
今は孫同然に思う少年の母親である女盗賊が久しぶりに顔を出したと聞き、心配になった旦那は、もとは一人働きの盗賊であった秘密を隠す絵描きの拾楽を訪れて、秘密を守ることを条件に、女盗賊を始末する手助けを申し付けてきた。
女盗賊とはその昔顔馴染みだった拾楽。当然彼女もまた拾楽を息子を取り戻す手助けをするように言ってくる。しかも、拾楽が惚れていると勘違いした長屋の家主で饅頭屋の主であるお智を人質にしようとする。
その第一歩として、お智の店で売り始めて人気となったヨモギ饅頭に仕掛けをして、中毒患者をこしらえる。その仕掛けのからくりをあばき、犯人が女盗賊であることを突き止めた拾楽が、誘いに乗ると伝えると、中毒騒ぎの真相を明らかにしてくれる。
拾楽に惚れている長屋の働き者の娘おはまが、仕事先で聞き込んできた飼い犬の失踪事件。植木屋の主夫婦は4年前に息子を失っていて、息子の誕生と共に飼いはじめた愛犬をかわいがっていた。その息子の失踪事件にも、女盗賊が絡んでいるのではないかと感じた拾楽は、その犬探しに出ていく。そして、偶然にも、犬に再会していた、失踪した息子まで見つける。川崎の旅籠の息子だという主と、植木屋夫婦を、二キの旦那の前で対決させて、ついにかどわかし事件を解決する。植木屋夫婦の温情で、さらった旅籠屋主には罪を問わないことになる。
その結果、その線から女盗賊を手繰れなくなったため、ついに拾楽は、女盗賊を罠にはめて捕まえようとするが、逃げられてしまう。
女盗賊が向かったのは、拾楽が惚れていると思われたお智のところだと思ったが。むしろ、拾楽が本当に惚れているおはまのもとではないかと感じた拾楽が駆けつけ、何とかおはまを助けた。観念した女盗賊は縛につく。