モヘンジョダロの墓標、とサブタイトルにある、古代文明をテーマにしたミステリー。
森園アリスは、カメラマン。考古学者によるトルコ東部にあるアララト山での、方舟の証拠発見の調査に、同行し、その地での写真をもとに発行した本で、有名になった彼女。
そんなアリスが、パキスタンのカラチに到着したところから始まる物語。
AI研究学者で、日系アメリカ人のヒュウガ博士にポートレート撮影を頼まれて、やって来たアリス。
しかし、直前に依頼主の博士は急死していた。心臓の病だというが、症状に不審な点が見える。さらに、博士が最近やり取りしていた4人の研究者たちも最近なくなっていることに気づく。病死、事故死と思われているが、何か不自然な気がして、その死の様子を調べてみようとする。
家族をテロでなくしていたヒュウガ博士の妻メアリーが資金を出すということで、博士の助手をしていた、中国人のコウと共に、調べることになる。
アリスが知った博士の知り合いの学者たちは、京都大学の民族文化研究者光永、シンガポール在住の海洋学者チャン、イタリアのバーリ在住の言語学者ザノッティ、インドのマドゥライ在住の宗教学者ナラヤナン。
まずは手近な京へ向かったアリスは、そこでアララト山で助けられた数学者一石と偶然再会する。彼は一度見聞きしたことを忘れられない、すべてを記憶できて、いつでも再生できるという特異体質を持っている。

光永氏は神社境内で遺体を見つけられ、チャン氏は海上の船で銛で打たれていた。ザノッティ氏は壁面の瓦礫が当たり死亡。ナラヤナン氏は黒い衣服の女性に首を絞められて殺されるのを弟子に目撃されていた。
プロと思える女性の暗殺者により、殺されているかのように思えた。

その道中、アリスらは、ヒュウガ博士が狙われた原因と思える、その研究について調べていく。
博士はモヘンジョダロにおいて、インダス文明を研究していた。いまだに、その実態が明らかにされていない。
その考察の講師役となるのが、一石。従来の研究書などの該当部分を簡単に読み上げることができる彼により、アリスはインダス文明について、次第にわかってくる。
他の四大文明と比べて、得意なのは集権国家ではなかったこと、大河のほとりにできたのではなく、川沿いや海辺にできた都市国家だっとこと、水が崇められていて、廃墟の中心に大沐浴場があり、その周囲を貯水地と城塞で囲われていた。
さらに、インダスに思想的に似たものを日本は持っていること、あるいは古代において遠洋航海ができるほどの航海術を持っていて、西は紅海から東は日本に至るまでの移動ができていた。黄河文明とメソポタミア文明を結ぶ交易の要衝として栄えた。

そして、インダス文明の謎に届きそうになったとき、彼らは敵に囚われの身となるも、一石の機転で、秘密をネットに拡散する手配をしてあることを明かし、秘密を口外しないことを条件に解放される。

そして、再びヒュウガ博士の終演の地であるモヘンジョダロに向かった一行は、一石氏の謎解明を聞かされる。
インダス文明がなぜ突然消えたのか?それに対して、一石はモヘンジョダロの地下に、自然の原子炉があるという。地下に埋まっているウラン紘に、大洪水時の水が大量に流れ込むことで、自然に核分裂が誘発され、放射線が発生。それにより、インダス文明は滅びたのだと。
パキスタンの遺跡の地下にウランがあることが公になれば、世界情勢に多大な困難を生む。そのために、アメリカの秘密情報機関であるCIAによって、研究に携わった学者たちが暗殺されたのだと。そのリーダーとなったのが、ヒュウガ博士の助手として監視していたコウで、暗殺の実行者は彼の4人の妹だと指摘した一石。彼と秘密を公にしないと約束した一石やアリスは、インダス文明の謎を明らかにすることができなくなった。

古代文明にまつわる研究書はかなり出てはいるが、あまり信用できず、読まない方だが、少し興味を抱いた。一石氏の解明では、インダス文明が、西洋で昔から議論されてきたアトランティスと同じだとされている。