下鴨アンティークシリーズ第4作。
昨日読んだのが第1作。
これは、カバー裏の解説文に、鹿乃の両親と、慧の父親に関係する話があるというので、読んでみたくなり買った。
2才で両親を交通事故でなくした鹿乃。両親の記憶はないし、思い出もないから、あえて兄に聞こうともしなかった鹿乃。
ある日、蔵の前に桔梗が落ちているのに気づいた彼女は、白猫のしわざだときづく。そういえば、帰郷柄の着物が蔵に収まっていた。出してみると、何と柄の桔梗が次々とこぼれ落ちていく不思議な現象が起きる。なぜそうなるのか?どうすればもとに戻せるのか?目録によれば、持ち主は雨森絢子。祖母の友人だったが、今は故人。その息子の嫁だった人が鹿乃に会ってくれて、話をしてくれる。絢子さんは足が不自由で子供の頃は寝たきりだったとか。でも桔梗が好きだとは聞いてないと。代わりに絢子さんの世話をしていた女性を紹介され、話を聞くと、事情がわかってくる。星空が見たいと思いながら、夜は外に出してもらえなかった絢子さん。不憫に思った庭師の若者が星の代わりにと桔梗の花を病室へ差し入れていたとか。
病人のお嬢様と心を通わせた庭師の若者。恋とまでは言えない関係がうやむやになっているのを知り、一肌脱いだ鹿乃。

女学校の帰りに友人の祖父が経営する商店街の中の喫茶店に立ち寄った鹿乃。前の経営者から店を受け継いだ友人の祖父は、当時常連客だった。だから覚えていた。その店で働いていた不幸な身の上の鹿乃の母親千鶴と、大学生の客だった父親慶介の出会いを。
両親がここで出会い、最初は反発しあっていたのに、仲良い夫婦になったことをはじめて知った鹿乃。そのきっかけになったのが雷柄の帯だという。蔵から出してみると、晴天なのに雷音がする。持ち主を目録で確かめ、その来歴を調べていく鹿乃。その帯の厄払いを祖母にかわって、いまだ打ち解けていない両親が調べて行った。それが結婚するきっかけになった。

文化祭も終わり、秋らしい着物を調べたくなった鹿乃。選んだのは様々な菊が描かれた着物。しかし、何も変化がない。何で蔵にしまわれていたのか?裏地を見ると、八掛に墨で文字が書かれている。平家物語の祇王の和歌だった。目録を見ると、枯れ菊とある。なぜ華やかに咲いた図柄になったのか?目録を見ると、持ち主は明楽貴和子とある。それを見て、なぜか慧の顔色が変わり、自分で調べたいと言い出す。兄に聞いても事情を教えてくれない。気になった鹿乃はひとり勝手に調べ始める。貴和子はすでに20年前に故人で、その父親にあって話を聞く鹿乃。離婚したあとに事故死した貴和子さん。その夫だった男の写真を見て驚く鹿乃。慧の父親で大学教授だった田村先生。貴和子は別居しながらも離婚を承知せず、陰の身だった慧の母親。死ぬ前に離婚を承知して、慧の両親は結婚したものの、その後離婚。母との暮らしもわずかで終わった慧は、父親を恨み、会うことを拒否していた。
元々は、貴和子の祖父の先妻が離婚の時に、置いていった枯れ菊の着物。当て付けだったのか?どうすれば枯れ菊に戻るのか?
貴和子さんの夫だった慧の父親田村先生にあって、話を聞く鹿乃。両親の思い出はないと思っていたが、彼女が父親に肩車してもらったことを聞いて思い出した鹿乃。離婚する妻が当て付けに渡したと思われていた枯れ菊の着物。その真の意味に気づいた鹿乃。

最後の編は、鹿乃の祖母芙二子の母親汐子が野々宮家にとついで来る直前の物語。
丙午生まれの汐子は生まれたときから両親の頭痛の種だった。良縁に恵まれないといわれていたために。野々宮家の信篤との縁談がまとまると、早々と新婚夫婦の屋敷を作り、祝言の日取りも決めてしまう。
見合い相手にひかれた汐子は強引に進められた祝言に不安を感じ、何と単身東京から京都へ旅をして、新居にいち早く暮らす信篤を訪れる。
互いに好意をもちながらもぎごちない二人が、ひとつになるきっかけになったのは、汐子が偶然拾った金蒔絵の櫛だった。信篤に会い、帰る途中で拾った櫛。その来歴を知り、持ち主に返そうとした二人の行動が、ボタンの掛け違いで危機になり掛けた夫婦を結び合わせ、彼ら二人も結びつけた。
鹿乃が納戸で見つけた兎の帯留めと蛙のネクタイピン。曾祖父母の持ち物だった。曾祖母の実家の家紋は兎。中国の故事では兎も蛙も月に棲んでいた。夫婦の仲を象徴する記念にお揃いで作ったものだろう。

第1作で、着物の来歴を調べる過程で知り合った石橋春野という大学生。洋館にひとり住まいし、バラを育てている。どうやら鹿乃に気がある様子で、今作ではやたらに出てくる。鹿乃は慧に心引かれながらも、いまだ自分の気持ちにも慧の思いにも気づいていない様子。二人の行く末については、実は最終作を以前読んでいるので、知ってはいるが。知らないふりで読んでいくのも面白い。
こうして読んでくると、シリーズ全部が読んでみたくなった。