浅見光彦探偵シリーズ。
母親の小言から逃れるために四国への取材旅行に出掛けた光彦。夏目漱石の「坊っちゃん」になぞらえて、登場人物にそれにでてくる人物名をあてはめていいる。
新幹線で岡山まで行き、レンタカーにより瀬戸大橋を渡った光彦。ジャガーを乗り回す美女マドンナと、偶然ながら何度も行き合うことで、痴漢に間違えられて、警官に目をつけられる。そして、そのマドンナが死体で発見され、身元がわからないことから、光彦は疑われて、警察の厄介になる。さらに、木造建築の歌舞伎場、内子座に顔を出したために、そこにで行われていた自由律俳句の会で、主催者が毒殺された事件の容疑者にもされてしまう。
推理により、毒殺の真相を見破ったことで、疑いは晴れたものの、マドンナ殺しではなかなか疑いが晴れない。そうするうちに、二つの事件には共通の背景があることに気づく光彦。俳句同人会幹部とマドンナの奇妙な一致点。同人誌に掲載されたページ数と、マドンナが訪れた日にちの一致。彼らの秘密は何かと考え、マドンナの家の捜索を進言し、麻薬を見つける。同人たちが船上で催す勉強会、それは麻薬の取引の隠れ蓑だった。
浅見が犯人だとにらんだ同人会幹部タヌキは無関係で、その部下であった赤シャツが犯行の首謀者だった。
今回は光彦の恋人になりそうな女性は登場せず、出てくる被害者の孫娘には恋人がいて、犯人と疑われた恋人の無実を光彦が明らかにしてやる。
巻末の著者による自作解説によれば、本作では主人公光彦のモノローグで、物語が進行している。これは漱石の作品の本歌取りをしたためだと言う。文体やエピソードなども漱石の作品からヒントを得たり、真似して書いたと。登場人物にあだ名をつけているのも同じ。