みとやシリーズの第3作。
浅草橋近くで、何でも三十八文で売る店を出しているおえいと長太郎の兄妹。両親を両国橋の落下事故でなくした上、そこそこの小間物屋の店まで叔父にだましとられた。天涯孤独な二人を引き取り育ててくれた料理屋の女将。そして二人で始めたみとや。兄が仕入れに出掛け、妹のおえいが店番をする。
今回は最初に、その兄がフグ毒によりあっさり死んでしまう。一人きりになったおえいだが、周囲の人々の暖かい助けを得て、みとやを続けていく。
そして、そんな暮らしの奈かでいろんな出会いがあり、騒ぎがあり、人の気持ちの多様さに触れていく。
最初の話。亡き兄の世話により、夫婦となった寺子屋を営む浪人道之進と、もと吉原の花魁花。道之進の息子直之は、みとやの店番をしてくれ、おえいは兄に代わり、仕入れに出掛ける。仕入れ先で愛された兄の話を聞いて回るおえい。亡くなる直前に兄が仕入れた品の中に、なんとおえいのものがあった。道之進と花の祝言に出るおえいを飾るために、兄が買い求めた水晶がはまった板紅。
第二の話。武家相手の指し物師が、亡き兄に乞われて卸してくれた小引き出し。訳を聞くために訪れたおえいと職人五郎兵衛のやり取りを描いた。
第三の話。おえいとは船頭仲間の辰吉の仲間が鳶職人に乱暴される。一方老女が空き巣を働いている事件が、おえいの前でひとつに結ばれたとき、すべてが解決する。
第四の話は、おえいが花に頼まれた実兄探し。乱暴な夫に身重で吉原に売られた花の母親。それ以前に生まれた兄は養子に出されていた。折しも兄の弔いに訪れた高崎にすむ叔父夫婦。そして叔父の嫁さんのふるさと東北の木馬。寄せ場帰りの職人が作った櫛に描かれた牡丹。二つが手繰り寄せたには、花の兄だったか?
第五の話。隠居した船宿の主は妻と妾と母との間に三すくみができていると噂されていたが、実は…。
第六話。長屋で生まれた赤ん坊が死に、夫婦喧嘩になる。夫に愛想をつかした妻。占い師に頼って復縁を迫る夫は、失敗の逆恨みを占い師に向ける。そばで見守るおえいたち。