以前読んだ「桜風堂ものがたり」の続編で、完結編。
風早の駅前にある星野百貨店6階にある、銀河堂書店。そこに勤めていた青年月原一整が、万引き事件がきっかけで、学生時代から勤めた店を退職を余儀なくされた。その後、山あいの田舎街にある書店桜風堂を訪ねたことから、病のため閉店を考えていた老店主から、店を預かり、書店経営に乗り出した一整。彼独自の感性によりみいだした作品を推し、その思いを多くの人に抱かせることで、その作品をベストセラーに引き上げる様子を描いた前作。
今回の展開はまず、もと勤務していた書店のオーナーからの呼び出しから始まる、星野百貨店および銀河堂書店建設の立役者の一人であるオーナーは、老いて病の床にあった。だから、本好き書店好きなのに、前回の騒動には動けなかった。そんな老人が一整に呼び掛けたのは、桜風堂書店を銀河堂書店の系列に入れて、支店扱いにするというもの。そうなれば、零細書店には新刊書がなかなか入らない悩みが解消される。人手不足も互いに融通することで解決する。
一整は預かり店主なため、後日老店主の了解を得て。それは実現することになる。
もとの書店で仕事仲間だった店員はもちろん、今回新たに登場した作家や、同じ町の人々が新たなドラマを展開する。
漫画家志望だったが、肌の合わない編集者により、引きこもりになった少女、五十になって売れっ子になった時代小説家。
一整により世に出た作家が申し出たサイン会の話は、同じ気持ちの作家2人が加わり、盛況なイベントになり、店内では手狭なため、丘の上の廃校で行われることになる。さらに、当地の伝説に基づいた星祭りが興を添え、町あげてのイベントになる。
編集者を引退して喫茶店を始めた店主と引きこもりの少女も、桜風堂書店に新たなスタッフに加わる。
書店の減少、維持の難しさを考えさせられる作品でもある。
本好きと書店好きは必ずしも一致しないとも思えた。若い頃はネットも何もなかったから、若い頃の私は書店には入り浸っていたが。最近は皆無に近い。書店に魅力がないためではなく、もっぱら財布の都合なんだが。
こんな時代にも頑張っている書店がいると知るのは、行かないけどいいなあと思ってしまう。
これで、簡潔というのは寂しいが、作者のイメージではそうなんだろう。それをあれこれ言っても仕方ないが。登場人物に引かれた私としては、一整と苑絵の恋の行方や、同じ職場の同僚でありながら、ペンネームで知り合った書評ブログの書き手である一整と渚砂の行方、渚砂と父親の再会などが気になる。新たに桜風堂書店で働き始めた引きこもり少女と苑絵の出会いも興味深い。似た者同士の二人の前に、どんな展開があるのだろうか。