美術コンサルタント、神永美有シリーズの第1作。
語り手である佐々木は、この時、女子短大の美術史講師。
旧子爵が大正時代に手に入れたボッティッテェリの絵の真贋問題で話は始まる。初めてあった神永は奇妙な言葉をはく。美術品の真贋を見極めるのに、彼が使うのは目ではなく、舌だという。もし偽物だと、舌に苦味を感じ、本物だと甘味を覚えると。
後に、彼が貧乏な学生時代に世話になった、美術書専門の古本屋の息子だと知り、親近感と共に、なき店主の代わりに彼の手助けをしたいと思う。
実際は、それまでにも国立美術館に展示された絵が複製であることを見破り、その筋では知られた存在になっていた神永。だから佐々木が手助けするよりは、彼の協力でことを行う方が多い。
最初の真贋問題で、ライバルとして現れるのが、神永に複製だと見破られたことがきっかけで、首になった学芸員清水。人一倍ライバル意識を燃やして、神永に対立していく。
最初の真贋問題で決め手になったのは、カンヴァスの素材だった。そして、7色に塗り分けられていた虹。

佐々木の生徒の実家の蔵に収まっていた古い日本地図が第二の真贋問題となる。明治時代に来日し、徳島で孤独な死を迎えたポルトガル人モラエス。彼と知り合いだった祖父が譲られた地図。その価値を知りたいと。そしてどこを描いた地図なのかと。

お釈迦様の涅槃図が次の問題。まるで横たわってエアロビクスをしているような図柄。これに対して神業的な発想で正解を導き出す天才神永。

美術収集に熱心な政治家が跡継ぎを申し入れた息子とディベート勝負をすることになり、双方に神永と佐々木が顧問につく。テーマはフェルメールの絵の真贋鑑定。

佐々木の祖母は西洋美術品の収集に熱心だった。そして死後の遺産分割に際して、奇尿な条件を遺言に残した。孫と叔母の対決で、神永と清水が顧問として参戦し、謎解きに挑む。7つの文章に合致する色のボックスを開けると、遺産が手にはいる。
師から、故郷の四年生大学の准教授の椅子を推挙されたものの、神永との別れを惜しんで、断ろうとしていた佐々木だが、最後には、神永との距離をおいて、自分の道を進むことにする佐々木。祖母の遺産も神永の協力で手に入れる。