「金春屋ゴメス」続編。
日本国から余命わずかな父親を引き取り、生まれ故郷の村で、数ヶ月看病していた辰次郎が、裏金春に戻ってきた。父親の状態はよく、自分で動けるようになったため、戻った。
長崎奉行の片腕だった部下の十助は、辰次郎の父親の幼馴染みで、辰次郎が鬼赤痢になった頃は村の庄屋を勤めていた。辰次郎の治療のために、両親を説得して、日本へ行かせたのは彼だった。そのために、父親が苦労し、あまつさえ死病にとりつかれたのを苦にして、江戸国へ再入国できるように、奉行に掛け合ったのは彼だった。その代わりに、自分が江戸を出ると。
片腕の不在で苛立つ奉行、ゴメス。十助の代わりに、裏金春に今回登場するのは旗本の娘、三芳朱緒。女なんかとけなすゴメスを投げ飛ばすほどの柔術の達人だった。
開幕は江戸城で老中である田安に呼び出された長崎奉行と南北町奉行の合議の場から始まる。
最近日本では禁止されているアヘンが持ち込まれて問題になっていた。その成分などを調べると、どうやらそのアヘンは江戸からに持ち出されたと思える。早急に調べて対処しないと、江戸とに本の国際関係が危なくなる。
ということで、今回は、そのアヘンの栽培地探しと、首謀者の探索がメインとなる。
また辰次郎は腕前をあげるために、棒術に精進する。
江戸の中には、東南アジアのミャンマーから移住してきた人々がいて、住まいをあてがわれている。その一族の首長の孫息子と知り合った辰次郎たち。そしてその一族がひそかにアヘン栽培をしていたことがわかり、首長が捕まる。ただ、問題になる日本へ送られたアヘンは彼らが栽培したものよりも大量。では他にどこで栽培されているのか?
もとは日本で悪徳政治家だった十万が、江戸に移り、今は旗本になっている。ミャンマー人の世話もしてる十万家に疑いを抱く辰次郎たち。
十万家の総領息子は粗暴なため罪を得て島流しになっている。とはいえ、江戸国に海の中の島などはなく、山奥の深い谷底に流される。そこが、アヘン栽培の秘密基地ではないかとにらんだ辰次郎は、松吉と共に、奉行に島流しにしてもらい、その地を探索して、ついに洞穴のなかにそれを見つける。十万の息子や流人たちに追われ、仲間の手助けで無事に生還する辰次郎。
悪事露見と知り、十万の息子はアヘンの畑を焼き討ちにし、それが合図となって、十万は江戸脱出をはかり、日本にいる元家老がモーターボートで迎えに来るも、長崎奉行のゴメスにより、追い詰められ、ついに自害。
事件解決と一概には言えない。十万は日本のヤクザにアヘンを送っていると思われていたが、実は日本国の黒幕的な大物政治家のもとへ送っていたらしい。どうやら、江戸国をなくそうという陰謀が陰にある様子。
はたして、江戸国の運命はいかに?ということだが、さらなる続編は書かれるのかどうか?

ほとんど一気に読めた。なかなか面白かった。舞台設定は異質だが、普通の時代小説としても読めるが、長崎奉行のゴメスの人物設定は、時代小説としては異質か?ならば、やはり、大賞を受賞してるファンタジーという方がいいのかな。