久しぶりに1冊読んだ気がする。
特撮映画の雑誌編集者、神部実花は、業界では、人探しの名人だと言われている。それがタイトルの追想の探偵ということか。数十年前に人気だった特撮の怪獣映画やテレビ番組。そんな特集記事を書くために。今は忘れられた撮影スタッフや出演者を探しだし、インタビューして記事を書く。スタッフは頼りにならない助手が一人で、ライターも当てにならない奴ばかり。上司も経営者も無理難題を押し付けるばかりで、助けにはならない。幼い頃から好きだった特撮映画、それに夢中になって、友人も恋人もいない。
それでも、彼女の口癖は、これが仕事ですから。
6編の探偵過程が描かれる。
不定期で出していた特集が、社長の一声で隔月刊に変更になる。今までもほとんど一人で頑張ってどうにかできたというのに。それでも弱音ははいても頑張るのが実花。
最初のターゲットは伝説の特殊技術者佐久田政光。三十年前に行方をくらまし、一切手がかりがない男の行方を捜査する実花。

第二番目のターゲットは、テレビシリーズの一話がなぜか撮影フィルム紛失で放映されず、幻の作品と呼ばれている。ないはずのフィルムの撮影写真が手に入った実花。紛失ではなく、事情があって、公開を中止された。その理由は何か?関係者への地道な聞き込みと推理で謎に迫る実花。

第三のターゲットは、映画会社が製作準備をしていた怪獣映画のイラストをかいた長沼洋之助の探索。公開はされず、長谷川も行方知らず。最近死んだという話もあり、追求していくと、実は冗談から生まれた噂で、本人は生きていた。発見されたイラストを雑誌に掲載するには、作家の許可がいる。ならば、彼を探さないと、踏ん張る実花。

第四は特撮作品のヒロインが使ったマスク。偶然見つかった、それは本物かどうか。
実花が頼りにしていた真贋鑑定の教授が、実花を騙そうとした。それはなぜか?

第五は、海外タレントから預かった腕時計を返そうとしながら年月がたち、死の床にある監督から頼まれた持ち主の行方探し。

第六は発見されたある作品のメイキング写真。それを掲載するには、写っている全員の許可をとれという、持ち主の出版会社の重役。俳優やスタッフはなんとか探し出したが、立ち会っていた映画関係者以外の人物特定に苦労する実花。最後に一人残ったのが、十歳くらいの見学の少年。その顔になぜか見覚えはあるのだが?

怪獣映画とか特撮映画にはあまり関心はないが、過去の人間を探し出すという、探偵過程が面白くまた感動的で、読みごたえがある作品だった。