この作品の探偵役は信濃のコロンボと呼ばれる長野県警の竹村警部と、警視庁の岡部警部。
信濃追分付近で人形やアクセサリーを売っていた丸岡一枝、その玄関にある夜、遺体が遺棄された。面識もない遺体が何故置かれたのか?顔見知り以外には吠える番犬が、何故かその夜は吠えなかったのは何故か?犯人は顔見知りか?
一方、東京の本郷追分でも遺体が遺棄されていた。のちに、近所の酒屋で酒を買った男だとわかる。店にあった古い店の絵から、その場所がかつては、本郷追分と呼ばれていたことを知り、その男が感慨深い様子だったと。
どちらの遺体も身元がわからず捜査は難航する。
信濃追分で遺棄された男が前年に行われた追分大会に来ていたことがわかり、追分とか追分節がキーワードだと捜査陣は考えるようになり、それが週刊紙の記事になったことがもとで、遺体の身元が判明する。北海道夕張で炭鉱夫をしていたことが判明する。
日本の発展に寄与した炭鉱だが、いつしか陰に隠れてしまう存在になった。それにより、多くの炭鉱夫と家族が悲惨な状況に落ちた。
二つの道の分岐点である追分、それは人の一生の分岐点にもなるものだった。

遺体の生前を追ううちに明らかになってくる彼らの生きざま、自分達を捨てた社会への復讐とばかり、悪の道に落ちたものたち、そこへ呼ばれながらも、断固拒否したために殺された被害者。

遅々として進まない捜査を地道にたどり、真実に行き着く竹浦警部の活躍を描いた作品。